イカの基礎的養殖システム

先週はタコの養殖に触れましたが、そのあとすぐにイカの話が飛び込んできました。

報道されている情報を総合的にみると、アオリイカの生物・生理・生態学的特性についての基礎研究を長年進めてきているなかで、実験材料(動物)としてのアオリイカを研究室内でどのように上手く再生産(繁殖)させ、長生きさせるのかを追及しているうちに、そこから得られた知見が本種の養殖の発展に寄与するのでは?と気づかれたようです。

その気づきから生れたシステム。出願された特許の内容を確認しなければ詳細は分かりませんが、現在は実証試験を経て産業化へのポテンシャルを探っていく前の段階であるものの、従来のように漁労や増養殖といった応用分野の研究を源にするものとは異なり、基礎分野の研究に伴い開発されてきたという点で新しく、たいへん興味が持たれます。

食用頭足類では双璧をなすイカとタコ。肉食性が強く、個体密度や急激な環境(海水比重など)の変化に敏感などといった点は両類で類似していますが、三次元的に飼育可能であろうイカの特性は養殖対象動物として相対的プラスに働くかもしれません。個人的にはタコへの関心が強いものの、どちらも美味しく世界的に人気ある水産動物であることは事実であり、両類ともに産業規模での養殖を可能にする技術の開発を、動物としての特性を踏まえて辛抱強く着実に進めることが肝要です。


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