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記事「様々な増肉係数(FCR)」についての補足説明

以前紹介した増肉係数(FCR)についての 記事 において、『ノルウェーでは飼料原料162万トンを使用した年に125万トンのアトランが生産されましたので、eFCR=162/125=1.30』と述べています。それをお読みいただいた方から、『アトランは数年かけて(出荷サイズにまで)育つので、ある「年」の一年のみに使用された飼料原料の量をFCRの計算に使うことには無理があるのでは?』との問い合わせをいただきました。 ご指摘の通り、確かに無理はあるのですが、時間をかけて育つ魚の稚魚から成魚(出荷サイズ)までに与えた飼料の原料の量を動的に記録することは大変難しいことですし、飼料メーカーや生産者(需要家)によるバリエーションが大きい飼料の種類や供給・使用量を把握することにも厳しいものがあります(少なくとも現時点では)。 このような事情もあって、魚の生産量(=飼料の使用量)が比較的安定して推移するノルウェーのアトランのようなケースでは、先の記事で紹介したような「ざっくり」とした計算で産業向けにFCRを求めることが度々あり、同じような疑問をお持ちの方もおられるかもしれませんので、ここでも回答を紹介させていただきました。 このようなFCRを、パラメータを定義した上で、「見かけのFCR(apparent FCR)」とも呼ぶことがあり、また、実際にノルウェーの国家統計でもこのFCRの数字が使用されています。

様々な増肉係数(FCR)

水産養殖では様々な増肉係数(FCR)を用いて事業が管理されています。 FCR=摂餌量/魚体増重量・・(1) 先の投稿 で紹介しましたようにFCRは上の(1)式で算出されるのが一般的(基本式)ですが、例えば、これを次の(2)式のように変えて使用する場面もあります。 FCR=給餌量/出荷重量・・(2) これはいわゆる経済的増肉係数(economic FCR:eFCR)の一つで、分子の「給餌量」は食べこぼされた/残されたエサの重量を含む真の給餌重量、また分母は「出荷重量」ですので、死亡魚や取り揚げ~出荷までに選別された魚の重量を加えたり、池入れ時の魚やの重量を差し引いたりしていない売りが立った真の魚体重量です。つまり、このeFCRからは売り上げた魚に要したエサの量、すなわち事業経営上の重要な指標で次の(3)式から求められる真の飼料(増肉)コスト((feed cost of gain)を算出するための基になる情報が得ることになり、 飼料コスト(円/単位出荷重量)=eFCR×飼料単価(円/単位飼料量)・・(3) これにより、飼料を上手に使って魚を丁寧に生産できたのか?という事業での飼育管理(husbandry management)能力をマクロな視点から評価することが可能になります。よくFCRというと飼料の性能と捉えて語られることがありますが、(2)式の「給餌量」や「出荷重量」が飼育管理のなかで発生する 様々なパラメータ の関数であることを理解している事業者は冷静です。 ちなみに、『アトランティックサーモンのFCRは何々』と言われることがありますが、多くはeFCRの数値に基づきます。また、先に(2)式をeFCRの「一つ」と紹介しました。例えば、ノルウェーでは飼料原料162万トンを使用した年に125万トンのアトランが生産されましたので、 eFCR=162/125=1.30・・(4) また、(4)式での飼料原料はas-is basis(現状そのまま)ですので飼料原料を乾物換算した152万トンでは、 eFCR=152/125=1.22・・(5) 一方、125万トンの魚は商取引登録された配合飼料が154万トンであった年に生産されましたので、 eFCR=154/125=1.23・・(6) になりますし、アトランはブリやマダイのように「丸(全魚体:whole fish)」で売られることは...

用語:「飼料効率」は「飼料転換効率」

先日の投稿での「飼料効率」は「飼料転換効率」と同じでしょうか?ということで確認を受けましたが、答えは「その通り」です。日本水産学会のweb版新・英和和英水産学用語辞典(http://www.jsfs.jp/d-dic/)でも「飼料効率」、「飼料転換効率」の両方の記載があります。昔はエサを表すために「飼料」ではなく「餌料」という言葉を使って「餌料効率」や「「餌料転換効率」とも言っていたのですが、もはやこれらの語句は学会のweb辞典に掲載されていません。これはおそらく、「餌料」が生餌を連想させるのに対し、「飼料」からは配合飼料を連想しやすいことに原因したものと思われます。生餌から配合飼料への転換が進むなかで学術用語も代替わりしたのでしょう。ちなみに、漢字の「飼」は食べ物を与えてやしなうという意味で、「餌」のように動物を育てるためのエサという意味はないようですが、「料」(もとになるものの意味)と連なることでエサの意味を持つようです。ついでに調べてみると「増肉係数」も学会web辞典にちゃんと掲載されていましたが、英語ではfeed gain ratioともいうようです(おそらく、feedとgainの間に「:」を入れたほうがいいのかもしれません)。 Web版 新・英和和英水産学用語辞典