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素材面からのゴーストフィッシング(ghost fishing)とゴーストギア(ghost gear)対策

人の手を離れた釣り具や漁具が意思なく生物を捕らえ、自由を奪って傷つけ、しばしば死亡するに至らすことがあります。これを「ゴーストフィッシング(ghost fishing)」といい、その釣り具や漁具を「ゴーストギア(ghost gear)」と呼びます。魚、カメ、海獣、鳥類に対する被害については報道などでよく取り上げられるので知られている方も多いと思いますが、ヒト(人間)も被害を受けうる生物であり、漁業、遊漁、潜水時における危険性が指摘されています。アンカーロープに根がかりしているゴーストギアで手を傷つけることはよくありますが、ダイバーが絡まって潮に流されたり浮き上がってこられなくなったりすることを想像するだけでなんとも言えない気分になります。生き物にとっても人間にとってもゴーストギアを出さないことが被害を出さないために最優先すべきことであるものの、現実的には出てしまうゴーストギアへの直接的な対策も急がれてしかるべきでしょう。漁労・養殖・遊漁大国の日本が責任をとっていくべきところは多く、その日本のメーカーからこのような製品が生み出させられるのは大変意義のあることだと思います。 釣り具、海中や土中で分解 NEC系が汚染防止素材 NEC傘下のNECプラットフォームズ(東京・千代田)は、自然環境で分解されるプラスチック素材の販売を始める。レジャー用品会社が2022年にも発売する釣り具などで採用される。数年をかけて海中で分解されるためごみになりにくく、排出する二酸化炭素(CO2)が少ないことを強みに、年50億円の販売を目指す。「NeCycle(ニューサイクル)」は木やワラに含まれるセルロースという物質が約50%、残りが石油

養魚飼料原料としての大豆

 前回の『魚粉の代替原料として使用されてきた植物原料、特にsustainabilityとtraceabilityを担保できる大豆のavailabilityに大きな制限がかかってきたことと、・・・』とは、どういうことでしょうか?と聞かれました。原料を扱う商社や飼料メーカーの人々にはよく知られた情報ですが、魚の生産者サイドにはまだまだ伝わっていないことがあるのでしょう。ノルウェーのアトランティックサーモン(アトラン)と濃縮大豆たんぱく質(SPC、Soy Protein Concentrate)を例にしてお話しすると分かりやすいかもしれせん。 日本では量的に極めて使用が少ない大豆由来の原料ですが、魚粉削減に強烈なパワーを発揮します。今日のアトラン飼料での低魚粉レベル約10%は、この原料なしでは達成できなかったでしょう。しかし他方では、主要産地であるブラジルでアマゾンを切り開き生産されてきた部分もありました。そこで業界はサプライヤーや環境団体などとの協議を重ね、今後は伐採拡大されない土地で生産されるSPCのみ(traceability)を飼料に使用することでsustainabilityを高めようとしています。そして、生産される土地が限られるわけですので自ずとavailabilityが制限されるのですが、それに加えて、このような強力な業界の枠組みでアマゾンのSPCが囲まれてしまうわけですので、部外者には入手困難なものになってしまうということです。ざっくりと簡単にお話ししましたが、ご理解いただけたでしょうか?もちろんSPCはnon-GMOです。 前回の補足にもなりますが、ノルウェー食品・漁業・水産養殖研究所(NOFIMA)の報告では、ノルウェーで使用される163万トンの飼料原料のうちの31万トン(19%)がSPCです。魚粉は19万トン(11%)ですし、次いで使用されるタンパク源の小麦グルテンで15万トン(9%)、コーングルテンで6万トン(4%)ですので、アトラン飼料におけるSPCの重要性が分かります。ただし、彼らにとっても、これ以上のSPCの確保は困難であり、しかも特定の原料への高い依存性によって飼料配合のflexibility(柔軟性)を損なうことになっています。何かの理由でSPCの入手が難しくなれば、飼料の製造、ひいては養魚自体が危ぶまれます。そういうことで、彼らに...

昆虫のポテンシャル

主にヒトの食品用としての昆虫という観点から書かれている記事ですが、そのなかで触れられているフランスのインセクト(Ynsect)に代表されるように、飼料用の昆虫を生産する産業も世界で急速に拡大しています。理由はいろいろですが、魚粉の代替原料として使用されてきた植物原料、特にsustainabilityとtraceabilityを担保できる大豆のavailabilityに大きな制限がかかってきたことと、従来からの陸上動物(主にトリやブタ)由来の代替原料を敬遠する考えが未だ健在(?)であることがその一つと考えられます。大豆ではGMOフリーや熱帯雨林保護からの制限といったキーワードを使ってお伝えしたほうが分かりやすいかもしれません。陸上動物由来の原料については『自然で魚はトリやブタを食べないから』といった考えや、『狂牛病』に対するトラウマ的な感情がまだまだ存在するからでしょう。一方、昆虫には(今のところ)遺伝子改変やアマゾンのような環境にかかわる話題は少ないですし、『魚はもともと昆虫を食べている(特に淡水魚やサケ・マスなどの遡河回遊魚では)』といった感覚が一般に受け入れられているところが強みになっているとも感じます(魚でも鳥類を食べる例はあるのですが…)。そういった意味では、魚粉だけでなく植物や陸上動物由来の原料をも代替していく飼料原料としての性能や機能性が、昆虫ミールやオイルに求められてきているとも言えそうです。もちろん、他方で注目されている微生物や藻類由来の原料もその例外ではありません。 昆虫生産のオートメーション化をビジネスとするデンマークのDanish Insect Automation ApSが、Google Mapを利用して The Insect Industry Map (昆虫産業地図)を作成しています。会社名、電話番号、ホームページのURLなどを気軽に伝えれば地図に加えてくれます。地図上で日本からは0(ゼロ)ですので、興味がある方はぜひ登録されてはいかがでしょうか?現在、世界から160社の登録です。 欧州で本格化する「代替肉」は昆虫! 900万人の欧州人の舌をとらえる | 未来コトハジメ ミールワームという虫をご存知だろうか。爬虫類や小鳥の餌などとして飼育されてきた甲虫の幼虫である。実は今年(2021年)1月、欧州ではこれが人の食用として「安全」と正式に評...

Whataboutism/お前だってダメじゃん

アウトドアブランドのThe North Face(ザ・ノース・フェイス)とオイル・ガス関連会社のInnovex Downhole Solutionsの間の出来事です。内容については記事をご覧いただければすぐにとれますので書きませんが、昨年にはアウトドアブランドPatagonia(パタゴニア)と養殖大手Cooke Aquacultureとの間にも似たようなことが起こっています。はっきり言って、どちらのケースでも「Whataboutism/お前だってダメじゃん」で、なんの結論もでないでしょう。記事が伝えたいこととは少し違いますが、どのような産業にも自然に対して悪影響を与えているところがあると理解し、己の産業のそのような短所をどのように軽減・削減していくのかについて考え、さらに時には攻撃したくなる産業との連携をも探っていくほうが、よほど意味のあることではないでしょうか。「Whataboutism/お前だってダメじゃん」というループには私も誰もが簡単に引き込まれてしまいます。とらわれているという認識と、抜けだそうとする努力や工夫が次へのステップにつながる近道なのだと思います。 ザ・ノース・フェイスが石油業界とバトル中。それが他人事じゃない理由 The North Faceが石油会社からの発注を拒絶したばかりに、石油業界から目の敵に。消費者も化石燃料への依存度を下げていく努力をすべき。