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タコ養殖からの撤退@スペイン

タコの養殖技術の開発を進めていたスペインの企業が、プロジェクトからの撤退を発表しました。正式なコメントとしては出ていませんが、カナリア諸島で計画していた養殖場の建設が、動物福祉や持続性に関する懸念から激しい反対にあったことが大きな理由の一つのようです。技術開発では先端の一翼を担っていた事業だっただけに、大変残念に思っています。 以前の投稿でも触れましたが、タコは知性があり、痛みやストレスを感じる知覚を動物であり、このような生き物を養殖対象にするべきではないとする考えと、それに基づいた行動が今回の背景にあります。 しかし、植物を含め、どのような生物でも知能や感覚があり、そしてそこに生命があるのですから、大切に育てて、無駄なく美味しく感謝していただくことこそが、とるべき(とれる)行動としてよほど本質的に重要なもののように私は思います。命をいただくとは、このようなことではないでしょうか。 日本でもタコの養殖研究が進められていますが、単に技術面の確立を目指すだけでなく、こうした議論にも正面から向き合っていくことが求められます。 ーーー 以前の投稿 タコは猫のように賢いから。。。 挑戦すべき養殖:タコ タコの不思議と養殖と生命 Nueva Pescanova withdraw from the Canary Islands octopus farm project The company is ending the project planned for the Port of Las Palmas after five years of administrative procedures, having concluded that changes to the conditions and requirements had substantially altered the original proposal

タコは猫のように賢いから。。。

世界的なシーフードブームで需要が増している「タコ」。 以前もお話ししたように 、私たちの業界では養殖事業化に向けた動きが活発になってきていますが、そのため、しばしばタコの「知性」の問題とも正面から向き合う必要がでてきています。 今回のBBCのレポートで紹介されている屠殺(水産用語では〆(しめ))の方法もよく議論されるものの一つです。魚での方法や現状をそのまま魚ではないタコにも当てはめようとし、また、〆方についての非科学的な趣向を押し付けようとすると「ズレ」が生じるのは当然で、それが議論のかみ合わない原因になっているのが良く分かります。 また、タコは猫のように賢いのでしょうか?そういうことも問題ではないはずで、全ての生きとし生けるものは尊重されるべきものであり、それを忘れず生命をいただくことの大切さを議論することのほうがよほど重要ではないでしょうか。 先月末に日本水産学会の東京大会にあわせて、「タコ類の増養殖の現状と問題点」という講演会が開催されましたが、このような話題には全く触れられていなかったのは残念ですね。 World's first octopus farm proposals alarm scientists Methods used on the Spanish farm would be "cruel" to such intelligent animals say experts, as details emerge.

イカの基礎的養殖システム

先週は タコの養殖 に触れましたが、そのあとすぐにイカの話が飛び込んできました。 報道されている情報を総合的にみると、アオリイカの生物・生理・生態学的特性についての基礎研究を長年進めてきているなかで、実験材料(動物)としてのアオリイカを研究室内でどのように上手く再生産(繁殖)させ、長生きさせるのかを追及しているうちに、そこから得られた知見が本種の養殖の発展に寄与するのでは?と気づかれたようです。 その気づきから生れたシステム。出願された特許の内容を確認しなければ詳細は分かりませんが、現在は実証試験を経て産業化へのポテンシャルを探っていく前の段階であるものの、従来のように漁労や増養殖といった応用分野の研究を源にするものとは異なり、基礎分野の研究に伴い開発されてきたという点で新しく、たいへん興味が持たれます。 食用頭足類では双璧をなすイカとタコ。肉食性が強く、個体密度や急激な環境(海水比重など)の変化に敏感などといった点は両類で類似していますが、三次元的に飼育可能であろうイカの特性は養殖対象動物として相対的プラスに働くかもしれません。個人的にはタコへの関心が強いものの、どちらも美味しく世界的に人気ある水産動物であることは事実であり、両類ともに産業規模での養殖を可能にする技術の開発を、動物としての特性を踏まえて辛抱強く着実に進めることが肝要です。 世界初!ツツイカの養殖システム開発に成功 OISTが商業化へ一歩 沖縄近海に3種が生息しているというアオリイカ(中島隆太博士提供) 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2日、ジョナサン・ミラー教授率いる物理生物学ユニットの研究チームがツツイカの養殖システムを世界で初めて開発したことを発表した。

挑戦すべき養殖:タコ

「今後挑戦するとしたら何の養殖ですか?」と聞かれることがあります。まずは、ミナミマグロとキハダ(マグロ)。これまでクロマグロとタイセイヨウクロマグロはしてきていますので残りのミナミマグロをすればクロマグロの仲間をコンプリートすることができますし、養殖したキハダは脂(あぶら)ののりが絶妙で、クロマグロとは異なる飽きのこない美味しさを楽しむことができます。そのほか魚では、海水ティラピア。ブレイクすること間違いなしとみており、遺伝子編集などのツールを利用して海水への耐性や肉へのうまみを一層付加することによってそのポテンシャルをさらに高めることができると思われます。ただし、再生産(受精~卵~仔稚魚)はあくまでも淡水でのみ行えるものとして制限することが必要でしょう。 さて、「魚以外ではどうでしょうか?」と聞かれれば、答えはこの記事でも紹介されているタコです。トレンドを考えればエビは外せないように思われるかもしれませんが、エビは集約~半集約~粗放的の全ての方法で標準的なプロトコルが出来上がっており、ここでいう私の中での「挑戦」とは別の部類のものです。 以前もお話ししたように 動物福祉の観点から「知性」が高いとされるタコの養殖については反対の意見もありますが、生きとし生けるもの全ての命の尊さを想うとそのような批判は決して的を射たものではありません。「タコ焼きのタコこそ培養肉で」という声も聴きますが、タコ焼きだけがタコ料理ではなく、タコ料理の世界的なバリエーションを考えると培養肉だけで需要を賄うことはかなり難しいと思われます。タコ料理には墨(すみ)を使うものもありますしね。 しかし、私が挑戦するまでもなく技術はかなり進んでいるようです。記事でも書かれているように事業化に向けては解決すべき課題が多く残されているもの事実でしょうが、ガザミ幼生を給餌するというブレークスルーを経て現在の優れた飼育レベルを達成されていることをみると、技術開発をさらにスピードアップするためのしっかりとした土台を構築されてきているもまた事実だと思われます。どのように進展されていかれるか楽しみで、近い将来、養殖されたタコが世界の需要を部分的にでも支える日が来ることを想像すると本当にワクワクしますね。 「築地銀だこ」ホットランドが挑む 脱・たこ焼き一本足 たこ焼き店「築地銀だこ」が今年、1号店開業から2...

タコの不思議と養殖と生命

無脊椎動物の養殖といえば貝類、ウニ、ホヤ、ナマコ、エビなどの養殖を連想されると思いますが、実はタコやイカについても技術開発が進められています。特にタコの養殖については活発で、生活史(ライフサイクル)を人為飼育条件下で一巡させる完全養殖の基本技術はすでに確立されており、いまのところは海外の企業が事業化へ一歩リードして市場への出荷も近く開始するという情報が流れています。 日本人も大好きなタコですが、世界的なシーフードブームで海外でも需要が伸びることが確かな反面、この瞬間でさえも各国が天然のタコ資源の獲得にしのぎを削っているのが現状で、それに並行するかのように養殖事業化に向けての競争も激しさを増してきています。 このような流れのなかで、知性も高く、痛みも感じるタコを水槽や生簀に閉じ込めて最終的に殺す(〆る)プロセスとして養殖を捉え、事業化に反対する声も高まっていると聞きますが、タコに限らず全ての生きとし生けるもののは尊重されるべきものであり、それを忘れず彼らの生命をいただくことの大切さを説くことも忘れてはいけません。命あるものを食べられないほどに作って、それが食べられずに捨てられるようなことを減らしていく取り組みもさらに拡大していくべきでしょう。 イカとタコの墨(すみ)吐きなど彼らの不思議で素晴らしい能力を子供向けにやさしく解説した今回の日経の記事ですが、頭が固まりつつある中年の私もふむふむと読み、そこで浮かんだことを書かせていただきました。 イカやタコはなぜ墨を吐くの? 敵から身を守るためだよ この前レストランに行って初めてイカ墨スパゲティを食べたよ。口の中が真っ黒になっちゃった。習字の授業で使う墨は食べられないから、それとは少し違うみたい。どうしてイカやタコは黒い墨を吐くのかな。タコやイカの仲間は頭足類。絶滅してしまったけれど、恐竜と同じ中生代に生きていたアンモナイトも同じ頭足類だ。二枚貝やウミウシなどと同じ軟体動物なんだよ。でも他の軟体動物とは大きく違い、泳いだり、体の色を変えたり