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エクアドル:エビ養殖のこれから

The Fish Site掲載のエビ養殖産業界のベテラン、ロビンズ・マッキントッシュによるコラム(オピニオン)で、エクアドルのエビ養殖の歴史と現在について解説し、こらからの方向性について提言しています。 Low stocking density (低収容密度)やall pathogen exposure(APE:全病原体暴露)といった用語で良く説明された「穏やか」なエクアドルのエビ養殖にもtechnification(技術化)やintensification(集約化)が徐々に進んできているものの、しかし、今後はこれをエクアドルにあったものに最適化していく重要性を語っています。 エクアドルでも技術化と集約化が進むのは予てから私たちの間でも予想はされていましたが、東南アジアの経験を参考にしつつ、エクアドルにあった方法を見つけていくべきだという点には共感します。 東南アジアは東南アジア、エクアドルはエクアドルといったように、ある意味別々の養殖体系を上手く保っていくことが、ひいては世界のエビ養殖の継続した繁栄にもつながっていくのかもしれません。東南アジアでは新たなチャレンジを進める動きもあり注目が必要です。 また、なにを養殖するにも、どこで養殖するにも、重要なことは養殖というものの基本の尊重であることも、このコラムは思い出させてくれます。適用するシステムや技術はデフレ的であるべきだし、環境には水質的にも微生物的にも限界があることを知って収容密度を調整すべきだし、栄養的にも機能的にも優れた飼料(餌)を与えるべきであるし、目的にかなった観点から育種された種苗を使うべきであり、市場(マーケット)の形成にも自ら積極的に関わるべきことが求められます。 The perils of overintensification in shrimp farming While the slow intensification of shrimp farming appears to be working in Latin America, Ecuadorian producers should be wary of the Asian example, where even heav...

スマート養殖業へ in 東南アジア

この記事は農業に関するものですが、東南アジアで養殖ビジネスを展開し拡大を図る際にも同様のことが言えると思います。事業の集約化や高度化の流れに乗るためには相手方と協力関係を築いて信頼を得ることも非常に重要になってくるでしょう。日本からみると温暖な気候で水温の変化もさほどないと思われる東南アジアですが、精密に連続測定すると1日のなかでも2~3℃上下することも珍しくありません。pHや溶存酸素についても同じことが言えますし、水中に見えない魚やエビへはどうしても過給餌傾向になってしいます。従来の原料に依存することができなくなる飼料の分野も大きなチャレンジを迎えます。このような問題や課題に対して日本のきめ細かな質の高いサービスで生産性を上げ、確実に利益を生産者にもたらすことができるか。その方向性や技術を理解し賛同する現地のスタートアップとの協業も良い選択肢になるものと思われます。 東南アジア、スマート農業の波 クボタはアプリを本格展開 - 日本経済新聞 東南アジアで先端技術を活用した「スマート農業」が広がっている。クボタは農作業を一元管理できるアプリをタイで本格展開する。各国には小規模な農家が多く、生産体制の効率化が遅れており、IT(情報技術)化で改善を図る。日本企業が強固な地盤を築く地域だが、中国勢や現地の新興企業が攻勢をかけており、競争力の向上が大きな課題になる。「スマートフォンで農作業を記録できるのは便利だ」。タイ東北部ブリーラム県のコ

エビの疾病と行方 in 東南アジア

EMS/AHPNDやEHPといった疾病による被害は東南アジア全体でみられますが、生産量の約8割をバナメイに依存するタイは比較的大きなインパクトを受けています。そのため、これらの疾病に耐性を持つバナメイ種苗の育種プログラムも活発に推進されており、その中では遺伝子編集によるものも検討されていると聞きますが、それと並行して、もともとこれらの疾病に強く成長や飼料効率といった点でも育種が進められているブラックタイガーへの回帰も進むと考えられています。このように改良されていくバナメイとブラックタイガーを上手に組み合わせることで東南アジアの養殖産業が安定してより活性化していけばいいですね。 エビ輸出大国、タイに異変 伝染病流行で生産量半減 タイでエビの供給不足に懸念が強まっている。伝染病の流行が主な原因で、2022年の生産量はピークの半分程度に落ち込む見通しだ。政府や民間団体は海外からの緊急輸入でまかなう方針だが、肝心の生産増に向けた対策は後手に回る。供給不安が続けば、日本など海外市場にも影響が及びかねない。「輸入許可は全ての利害関係者の合意によるものだ」。タイ水産局のチャルームチャイ氏は9月上旬、タイメディアを前にこう訴え、自

ゴキブリでの研究-エビとカニの遺伝子編集に応用可能か?

昆虫での話ですが、遺伝子編集を行うための材料(Cas9とRNA)を成虫(メス)に注射するだけで高効率に遺伝子編集可能なことを発見・開発したというニュースです。 昆虫の循環系が「開放系」であることが重要な要因の一つのようですが、それを聞いて「エビやカニの遺伝子編集にも使えるかも?」と思っているのは私だけではないでしょう。 例えば魚(マダイ)の場合は先ず卵に直接注入することで遺伝子編集を進めますが、昆虫(今回の場合はゴキブリ)では卵が硬い殻に覆われているため魚の場合のような注入方法は適用できませんでした。 エビやカニの卵はゴキブリのものとは違うものの、マダイの卵よりはかなり小さく硬いですし、ゴキブリの場合のように親エビや親ガニに注射できるとなると、一つ一つの卵に注入するよりも極めて効率的に多くの卵(稚エビ、稚ガニ)に処理が施せます。 開発に携わった研究者曰く、『私たちが開発したこのゲノム編集法は、本当に驚くほど簡単です(虫たちの方が驚いているかもしれません)。』 エビやカニでもこの技術を適用できるのであれば、遺伝子編集研究とそのエビ・カニ養殖産業への応用が一気に進むものと思われます。楽しみですね! 詳しい研究の内容について: 昆虫ゲノム編集のあたらしい形―成虫注射で「難敵」撃破― https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-05/220517_daimon-a4427beee3a93748b16d1838ae993bb1.pdf 論文DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.crmeth.2022.100215 昆虫を注射1本でゲノム編集 安価・容易に品種改良 京都大学の大門高明教授らは遺伝子を効率よく改変するゲノム編集を昆虫に簡単にできる技術を開発した。卵を産む前の成虫に注射をするだけですみ、高価な装置や長期間の訓練などは不要だ。ほとんどの昆虫種に適応できるという。昆虫食といった産業への利用や病原体を媒介しないようにして感染症の流行を抑えるといった応用が期待できるという。スペインの進化生物学研究所との共同研究で、17日に米科学誌に論文が掲載された。

エビ養殖とプロバイオティクス

エビ養殖におけるプロバイオテックスについての総説(オープンアクセス)です。エビの場合は飼料だけでなく環境水中への摘要もありますので魚類の場合とは異なるところもありますが、プロバイオティクスとその作用メカニズムを基本的なところから簡単かつ詳しく説明してくれていますのでとても参考になりました。 プロバイオティクスとして利用される、あるいはそのポテンシャルがある微生物についてもグループごとに解説されていますし、作用メカニズムとしての競合排除についてはその知識をまとめる良い復習にもなります。抗生物質耐性(AMR)問題に対する一つのソリューションとしても研究がますます盛んになってきているプロバイオテックス、「ほんとに効くの?」とか「効いたり効かなかったり」というような得体のしれないものとして捉えられていた時代は今では遠い昔のことになりました。 プロバイオティクスは「生きたかたちでホストに利益をもたらす」ことになりますが、この他にもそれらの微生物の生産物を利用するポストバイオティックス、それらの微生物を食餌によりはぐくむプレバイオティクス、プロバイオティクスとプレバイオティクスの協働を期待するシンバイオティクス、機能性を高く保ったままの死菌体などなど、水産養殖でも様々なかたちで有用な微生物を科学的エビデンスをもって活用する機会がどんどん増えてくるものと思われます。言い換えれば、どのようなかたちにせよ有用な微生物を使いこなしていくことがこれからの水産養殖には欠かせないものになってくるのかもしれませんね。 Probiotics and competitive exclusion of pathogens in shrimp aquaculture Probiotics, live microorganisms that, when administered in adequate amounts, confer a health benefit on the host, offer an alternative to antibiotics and have become popular among shrimp farmers for ...