増肉係数(FCR)と給餌量

FCR(無次元)=給餌量÷増重量

学生さんのレポートのネタや試験対策であったり、ほぼ毎日報道されている陸上養殖で世間の養殖への関心が高まっていたりで、最近になって再び増肉係数(FCR)について問い合わせいただくことがあります。FCRついては以前に何度か書いていますのでそれらを参考にしていただくこととともに、特にFCRが事業に絡む場合には、給餌量と増重量について丁寧に検証することの大切さもお伝えしています。

例えば給餌量は、

給餌量=摂餌量+α+β+・・・・・

で表され、魚に摂取されたエサの量(摂餌量)のみならず、αやβといった様々なファクターによっても決まるもので、これらは、一例を挙げると、魚が食い損じたり吐き出したりして生簀外に流失するエサの量だけでなく、魚の摂餌活性が低いのに職場のプレッシャーで当日の規定量を時間内にやり切らなければならない(→当然、魚はエサを食べきらない)といった時に発生して無駄になるエサの量です。そして、このようなファクターは「目に見えず(invisible)」、しかも人的なものが多くて、それらがかなりのウェイトで「給餌量」に乗っかっている(くる)可能性があります。

検証された結果、そのような可能性を否定できないのであれば、まずはマネージメントの意識や職場環境、そしてフィールドからの意見に耳を傾けるといったことから改善を始める必要がありそうだと伝えています。IoT/AI制御給餌システムの導入を検討するにしても、そのような改善志向を持つ事業体(者)なければ、システムの能力を引き出すこともできないでしょう。摂餌量と給餌量の乖離を抑えるのがFCR管理の原則で、これを理解している事業体(者)は冷静です。


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