陸上養殖事業へ参入するには
サーモンやトラウトの陸上養殖事業への参入を検討されるケースが国内で増えています。
SDGsにミートする魅力ある事業だと感じられていることもあるのだと思いますが、現時点ではまだまだ実証と収益性に乏しい事業であるとの認識を持って参入の是非を検討すべきでしょう。初期から中期にかけて確実に発生する損失をカバーし続けられるほどの補助金や本業あるいは親会社の体力(稼ぎ)がなければ、また、そのようなことが理解される/許される環境になければ極めて難しいと言わざるを得ません。
「海外では事業化されているよね」と言われるかもしれません。しかし、彼らの資本、ビジネスモデル、テクノロジー、生産規模、歴史は日本のものとは全く異なっており、そのため直接的に比較することはできませんし、また、海外でも単独では高度な収益性をもって事業化されている例はないのが事実です。
日本では端境期にあたる高水温期での生産や、輸入に由来するカーボンフットプリントの低減、区画漁業権の確保に要する複雑なネゴの回避といったところでのアドバンテージがあるかもしれませんが、これらが海面養殖や輸入よりも収益性のある事業化にどれほどつながり有利に働くのかについて相当慎重に検討する必要があります。
ブランド化などでプレミアムな販売価格を設定できるでしょうか?海面よりも陸上で養殖される魚のほうが安全・安心でしょうか?陸上養殖は海面養殖よりも本当に環境にやさしいのでしょうか?このような「今さら?」と思われることに関しても十分に理解することが大切です。
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