ISFNFとコロナと若い人
6月にイタリア・ソレントで開催される第20回ISFNF (XX INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON FISH NUTRITION AND FEEDING)のプログラムが公開されました。生理と栄養要求のセッションが2つ、育種と仔稚魚栄養のセッションが2つ、飼料添加物と機能性飼料のセッションが2つ、栄養学的給餌戦略のセッションが2つ、栄養と魚類健康のセッションが2つ、飼料製造と養殖生産物の品質のセッションが1つというようななかで、代替タンパク源と代替脂質源については比較的多い3つのセッションで構成されています。演題をみますと現在の潮流をダイレクトに反映して、養殖副産物由来の油脂の利用性、微細藻類油脂による魚油の完全代替、昆虫ミールと油脂、そしてその昆虫のエサや、酵母タンパク、陸上動物タンパクなどに関する発表であり、もはや大豆、トウモロコシ、小麦など植物性タンパクのお話はほとんどでてきません。自国での養殖のエサ(の原料)は自国で賄うという急激な流れの一端でもあり、世代の差を感じている時ではないということなのだと思います。
一方で別の観点から気になるのは、日本からの参加者がみあたらない点です(プログラム上では発表者の氏名でしか判断ないのですが)。大学や公的機関の教員、職員もそうなのですが、それよりもむしろ、院生、博士研究員、企業のなどの若い人がこのような場に来ることができなくなっていることが心配で、日本における魚類栄養・飼料の研究分野の将来を考えればかなり痛いように感じます。おそらくコロナの関係で仕方がないところもあったのでしょうが、ルールを守りさえすればおおよそ自由に海外渡航ができるのが現状ですし、これは誰もがやっていることでもあって、もちろん若い人達も充分に大人なので出来る(ように努めなければならない)はずです。そこでの彼女/彼らの経験と、そこで築いた人とのつながりが、10年後のあなたの会社、機関、大学の発展と、そしてもちろん彼女/彼ら自身に必ず活きると断言できます。ですので、誤解を恐れずに言えば、「コロナだからやめろ」というようなことではなく、abstractは締め切っていますので発表は無理なのですが、「せめて参加するだけでも」と思っている若い人がいるのであれば、ぜひ行かせてあげましょう。彼ら/彼女ら自身の研究・勉強人生でもあります。
大会ホームページ
http://www.isfnf2022.org/2022/home
プログラム
http://www.isfnf2022.org/2022/documenti/Preliminary_Programme.pdf?9257
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