Gill Oxygen-Limitation Theory
Gill Oxygen-Limitation Theory(GOLT:鰓酸素制限理論)についての最新の総説です。専門外の私が理解するには難解な理論ですが、相当ざっくりとした説明が許されるならば、魚の成長スピードや魚がどこに棲む(行く、回遊する)のかは鰓(えら)でどれだけの酸素を摂取(呼吸)できるかに大きく影響されるというものです。地球温暖化による海水温の上昇のインパクトを説明する際には必ずといっていいほど言及される理論ですがGoogleでざっと調べても日本の専門家による解説(日本語)は見当たらず、これが国内ではあまり知られていない理由の一つかもしれません。この総説にあるように一般化(統一理論化)するにはまだ議論すべき点も残されているようですが、2013年の発表当初から受けてきた種々の批判のせい(?)もあってかなり洗練されてきているようです。ミクロなことでこの理論を適用することができるのかはわかりませんが、最近かなりの数のブリが北海道で漁獲されるという現象は、ブリが酸素を求めて(かつ、餌も豊富な)海水温が比較的低い海域(酸素が豊富)に回遊域をシフトさせているということを物語っているのかもしれません。また、養殖業では近年の高水温で酸素が相対的に少ない時期が長引き、それが魚の成長や生産性に悪影響を及ぼさないのかも心配です。魚の餌料転換効率や成熟のタイミングにも関わるGOLT。日本の水産業にとって身近で大切な魚を考えるときにも知っておきたい理論ですね。
The gill-oxygen limitation theory (GOLT) and its critics
The gill-oxygen limitation theory (GOLT) explains many previously unexplained aspects of the life history of fish.
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