完全養殖だけが養殖ではない

どうしても話の流れで完全養殖こそとの記事になってしまうのかもしれませんが、水産養殖は人工種苗だけでなされるのもではなく、天然種苗も上手に利用して行っていくものだと思います。科学的知見に基づく資源管理と、それを官民協力して確実に行いさえすれば、例えば地中海のクロマグロのように天然魚でも上手く養殖に利用できるようにと種々のハードルを乗り越え、安定した雇用と食品(食料)を生み出す産業になるのです。完全養殖は素晴らしい技術ではありますが、日本でこれがクローズアップされるのは、一方で天然種苗を先述したような高い水準で管理利用できていない居心地の悪さからもきているでしょう。日本で天然種苗への依存度が極端に高い養殖といえばクロマグロ、ブリ、カンパチですが、その資源管理と養殖利用の検証はどうでしょうか?意味のない数字で天然種苗の捕獲数を制限したり、記録したりだけで終わっていないでしょうか?海外からの激しい突っ込みが入っても、正々堂々と天然種苗を利用できる状態であるのか?あるいはその状態でなければそれを計画的に達成する戦略を国レベルで立てましょう。養殖魚の成長産業化はこういうところから始めなければ成し遂げられないと思います。完全養殖を謳うのは簡単ですが、天然種苗の有効利用を突き詰めるのも水産養殖という産業です。皆さん忘れていませんか? 

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