世界海洋デーとEPA、DHA

今日は世界海洋デーということですので、雑誌Nature Foodの報告をご紹介いたします。

オメガ3脂肪酸のEPAとDHAは人の健康や脳の発達に欠かせない栄養素であり、世界におけるヒト(人間)への年間必要量は140万トン、一人当たりの日間必要量は500mgとされていますが、現状では年間42万トン、一人あたりでは日間150mgしか供給できていないようです。つまり、年間必要量では100万トン、一人当たりの日間必要量では350mgのEPA+DHAの供給が不足している深刻なギャップが存在していることになります。

このギャップはどのようにして埋めていくことができるのでしょうか? 水産養殖はEPA+DHAを消費する産業として考えられてきましたが、この報告によって水産養殖はEPA+DHA供給の貢献者であることが説明されました。発生を抑制することが可能である食料廃棄物(avoidable food waste)や必ず発生する食料廃棄物(unavoidable food waste)の削減、またそれらバイプロダクト(by-product)の魚粉・魚油製造への利用など挑戦的な課題を解決していくことがEPA+DHA供給者としての水産養殖の地位をさらに高めるためには大切とのこと。EPAやDHAを含有する代替タンパク質や代替油脂の活用を探るだけではなく、足元を見つめ直していく必要もありそうです。

報告は海洋で生み出されるEPA+DHAが漁獲物を経てヒトいたるまでの経路を整理して、バランス(収支)とともに定量化しグラフ化しています。また、各産業における魚粉、魚油の消費量や水産養殖および漁業由来のバイプロダクトの地域別発生量のグラフなどとても見やすく作られていますので、興味のある方は是非ご覧ください

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