透明性の必要性

 Global Salmon Initiative (GSI)からwebサステナビリティ・レポートが発表されました。凄まじいという言葉で形容してもおかしくないぐらい透明性の高い情報が大変わかりやすく一般公開されています。エネルギーリテンション、カーボンフットプリント、FCR、オメガ3脂肪酸などの数値についてはどのような計算式やパラメータを使って算出しているのか?またどのような基準で他の魚や家畜のそれらと比較しているのか?で変わってくるものですので、サーモンがそれほど断トツに優れた数字を叩きだすことができているのか?については議論の余地はあると思いますが、サステイナブル・フードとしてのサーモンの優位性を示すには十分な構成になっています。それと、これはすごいなぁと感じたのは、「Sustainability indicators」のページにあるプルダウンメニューで国名とメンバー企業名を選べば、それぞれでの逃亡尾数と原因、死亡数、抗生物質使用量、シーライス(ウミシラミ)感染状況・対処方法、FFDR、違反件数と罰金額、従業員の病欠日数や負傷と死亡インシデント数などの情報を閲覧できるようになっていることです。これらは各GSIメンバー企業のwebページや彼らが独自に発行するサステイナブル・レポートを当たれば拾えないでもない情報ですが、企業ごとにまちまちな体裁でなされているそれらの媒体から拾うのは、特に一般の方々には不可能に近く、そのような情報がeasy-to-look、easy-to-read、easy-to-useに閲覧・収集できるのは業界人にとってもありがたく、GSIにとっても意義あることでしょう。ちなみに、魚の逃亡原因についてみてみると、例えばノルウェーではサンプリング時に魚が海に落ちた、船のリフトで網をひっかけた、wellボートのベントバルブが開いていたなど作業上のミスによるものがほとんどですが、チリでは網を切られた、アシカの攻撃を受けた、暴風雨で壊れたなどの(ある意味)コントロールできないものも多いことが分かり、その国々での養殖の何か懐かしいような雰囲気を感じることができます。公表されているデータはアトランのものだけでなく、ギンザケやトラウトも含まれていますので、興味ある方はぜひwebページを訪問されてはいかがでしょうか?

コメント

このブログの人気の投稿

様々な増肉係数(FCR)

フィレ歩留り

飼料効率と増肉係数

シロザケ陸上養殖への挑戦

増肉係数(FCR)と給餌量

天然種苗と人工種苗のバランス

私もChatGPTに聞いてみました

昆虫とともに

エクアドル:エビ養殖のこれから

コロナ禍だから