現代型なくして次世代型なし

 数日前にペルーでアナウンスされてから騒ぎが大きくなってきましたが、養殖産業は川上から川下まで過去に何度もペルー魚粉の不足を経験していますので、そこから学んだ備えがあって当然でしょう。「備え」とはペルー魚粉の「備蓄」という意味ではなく、持続性の高い代替魚粉や代替タンパクの開拓、それら原料の利点を引き出す飼料の開発、それら飼料を使いこなす育成技術の向上、そして、その結果生産される魚の購買とその消費者への啓蒙と販促など。。。しかし、次の漁期で十分な魚(魚粉)がとれれば、すぐに忘れる、、、基本的にはこれが歴史的に繰り返されてきている現実です。ですので、「次世代の原料」、「次世代型飼料」、「次世代型養殖」といったように、いつまでたっても「次世代」という接頭語がとれないのです。実際には、いま現在あってしかるべき「現代型」のものばかりですのに。国や学術界による中身があるリードも全く足らなかったのでしょう。この記事が報じているように東京オリンピックを商機ととらえているのであれば、今回のペルー魚粉の不足も機会に「次世代」からの脱却を業界全体で協働して進めてはと思います。もちろん、全てでということは現実的ではありませんので、進めるところは進めて、そして、今回こそは後戻りはしないという行動を期待しています。オリンピックの開会や閉会に合わせて持続性を競うコンペティションを開催するのもいいかもしれません。業界全体で一体感がでる良い期間になりますし、6か月もあれば魚は大きく成長します。「日本の養殖業界はノルウェーのサーモン業界を知ろう」と言われて久しいですが、なぜノルウェーのサーモン業界がこれほどの発展したのかについて、ご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか?育種、飼育・栄養技術の向上、販路の拡大などの個々については良く言われるところですが、実際の起爆剤は業界全体で腹を割って話し、知識や技術をシェアして協働したオープンイノヴェーションでした。我が国の養殖産業が「現代型」へ移行するにも、これと同じことが鍵になるはずです。


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