魚粉という原料

 私の仕事の領域で魚粉といえば養魚飼料の原料の一つですが、原産国では原魚種が人々の食糧になっているケースがあるのも事実です。このコンフリクト、急激な人口増加が予測されるなかで益々クローズアップされるようになってきました。国連のSDGsも大きく影響しているのでしょう。アフリカでは輸出用の魚粉の製造量の増大で、これまで伝統的に食されてきた小魚の価格が高騰して食用にはあまり回らなくなっているようです。小魚にはヒトにとって栄養学的に優れた微量栄養素やタンパク質が含まれています。特に子供が正常な発育する過程で重要な役割を果たす栄養素が多く存在します。魚粉製造という新たな産業が経済的な恩恵を原産国にもたらすことは良いことですが、同時に食用としても持続的に利用できるように上手く資源管理していくことの重要性が増してくるでしょう。これまでIUU漁業、違法労働、環境などの観点から論じられることが多かった魚粉。その原魚が食用としてもどれだけマネジメントされているのかなど、新たな視点からの評価が魚粉に対してなされてくるかもしれません。天然魚と養殖魚の両方がヒトの将来には必要なのですから。

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