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DHAがアトランテックサーモンのダーク・スポット(dark spots)の発生を抑える?

 アトランテックサーモンをフィレにするとダーク・スポット(dark spots)と呼ばれる“しみ”を認めることがあり、これがあるとフィレの商品価値が大きく損なわれます。ブリのフィレでみられるようなものとは違ってメラニン色素の沈着によるもので、その発生を抑えるためには原因と思われるワクチン接種の副反応やウィルス感染症をコントロールする必要があると考えられてきましたが、Nofima(ノルウェー食品・漁業・水産養殖研究所)は配合飼料に含まれる高度不飽和脂肪酸のDHA含量もdark spotsの生成に大きく関わることを示しました。 成長には2%程度でよいところ、dark spotsのもとになるメラニンの合成を抑制するには3.5%程度のDHAが必要になるということで、飼育成績に基づき極限まで低減されている海産油脂(主に魚油由来)の配合率が見直されるきっかけになるかもしれません。まだ詳しい内容が公開されておらず投与期間などの細かな条件は分かりませんが、例えば魚油を1.5%増加、これをノルウェーで生産されている160万トンの配合飼料全体に適用すると2.4万トンの魚油の追加需要が生まれることになり、原料市場へ与えるインパクトは小さくないでしょう。 しかし、それだけの魚油を配合するということはコストの上昇に直結しますので、どのステークホルダーにおいても費用対効果についての慎重な判断が求められることは必然であり、また、その一方で、併用できるポテンシャルが高いDHA藻類など魚油代替油脂への関心も改めて高まってくるように思えます。吹いた風がどの桶屋にまで届いていくのか?影響する範囲が大きな産業だけに注目されます。 Found that the DHA fatty acid promotes fillet quality - Nofima Therefore, another piece of the puzzle is in place regarding the understanding of why marine … Les videre «»

トンガ海底火山噴火による津波被害|ブリ養殖用種苗

トンガの海底火山の噴火が原因で発生した津波が遠くはなれた日本の養殖産業にも影響を与えました。この記事で紹介されているブリの養殖用種苗では津波による潮位の変動と局所的に発生した早い潮の流れで生簀の網が吹かれ被害につながったものと思われます。まだ魚の大きさも小さかったようですので生簀網の目の大きさも細かく、そのための水に対する抵抗の大きさも被害の拡大につながったのでしょう。天然種苗が全く不足していることから大変貴重な人工種苗だけに残念です。今回のような津波では養殖魚や養魚施設へ被害が後になって新たに分かってきたり、今は感じず気づかない程度のものが後に大きな二次被害(魚病、逃亡、走錨など)をもたらしたりすることがあります。明確な被害を受けなかった地域でもしばらくは警戒を保つ必要がありそうです。 生けすのブリ稚魚が大量死 トンガ噴火の津波影響か 鹿児島 | NHKニュース 【NHK】トンガで発生した大規模な噴火による津波が観測されたあと、鹿児島県の種子島の沖合では、生けすで育てていたブリの稚魚が7万匹…

夢の難しさと大切さ

 アメリカのバイオベンチャーの創業者が詐欺の罪で有罪判決を受けました。指から採取する極微量の血液から数百の項目が検査可能になるということだったようですが、日経に紹介されているフィナンシャルタイムズの記事によると、実は12種類の項目でしかなかったようです。資金を集めるには投資家や市場を含め皆に魅力的と感じさせる「夢」が必要ですが、彼らの「夢」がビジネス的にも科学的にも倫理的にも真心から語られているのかについて知るこのとの難しさと大切さを改めて示した事件とも言えそうです。 [FT]夢語り市場を欺いた女性起業家(写真=ロイター) 米シリコンバレーでは「噓もつき通せば本当になる」かもしれないが、裁判所では通用しない。米バイオベンチャー、セラノスを創業したエリザベス・ホームズ被告は投資家への詐欺罪などで3日、米カリフォルニア州の裁判所の陪審から有罪評決を受けた。同被告は微量の血液で様々な疾病検査ができるとうたい、投資家を呼び込んだ。しかし2015年、同社の技術に疑念が生じ、一時90億㌦(約1兆円)あった評価額は急落した。 その難しさと大切さについてこの事件から学ぶべき(学べる)5つのポイントをForbesの寄稿記事が挙げています。最近注目を集めている培養肉の分野を対象に書かれている記事ですが、実際のところ、分野や企業規模、事業者か投資家か消費者かなどの違いに関わらず普遍的に重要なポイントだと感じましたので、次に見出しだけですが私独断の短縮意訳をつけて紹介いたします。興味のある方はぜひ記事ご覧ください。もちろん、水産養殖に関わる全てにも通じる内容です。 1. You cannot endlessly rely on future hopes and dreams   (現状に正直であれ) 2. You can commit fraud even if you rely on scientists   (自分に正直であれ) 3. Attracting high-profile investors and board members will not save you   (自分自身であれ) 4. Firing and threatening employees is never a good strategy   (人材を大切し...

2021年のサイエンスニュース

今年も終わり近くになりました。コロナ、コロナでうんざりすることが多かった年ではありましたが、オミクロンに対してもワクチンの効果がある程度期待され、また有効な抗ウィルス薬も処方可能になってくるという明るいニュースを年の終わりまでに聞けたのは良いことでした。これらの医薬品が量的、質的にもさらに充実して、世界的な規模でウィズ・コロナに向け加速することができる2022年になることを祈っております。コロナをはじめ、火星、遺伝子編集、異常気象など2021年を特徴づけたニュースをnatureが選んでおりますので、それをご紹介して今年最後の投稿にいたします。皆様、良いお年をお迎えください。 The science news that shaped 2021: Nature’s picks From Omicron to a Mars helicopter to an Alzheimer’s firestorm, our news editors choose the defining moments in science and research this year.

養魚飼料のCO2排出量

デンマークの養魚飼料メーカー Aller Aqua が飼料のラベル(表示票)とデータシートに二酸化炭素排出量の記載をはじめたとの報道です。環境フットプリントの算出に関わるEU委員会の厳格なガイドラインに基づき求められるものですが、今回の動きは環境に対する配慮をアピールするためだけのものではなく、環境への負荷を具体的数字で自ら率先して晒し(さらし)、透明性の確保と差別化を図ることによって、環境問題が絡んで一層激しさを増す競争での優位性を先取りしようとするものともいえるでしょう。Aller Aquaのweb siteをみると、確かに例えば yellowtail kingfish(ヒラマサ) の17 mm EP(CP 48%; CF 22%)でCO2-eq. with land use changeが1.24 – 1.39 kg/kg feed、CO2-eq. without land use changeで1.17 – 1.25 kg/kg feedと計算され記載されています。請求すれば算出過程などの詳細を含めたCO2レポートの提供を受けることができるとのこと。CO2排出量などの環境負荷に関わる数字は、これまで飼料や水産物の国際認証を受ける際に影(表に出ない形)で計算されるだけでした。単に原料や栄養成分だけでなく、環境フットプリントも考慮して養魚飼料を選択すべき時代に突入したようです。 Aller Aqua pioneers carbon emissions labeling on fish feed Danish company, Aller Aqua, is the first fish feed manufacturer worldwide to have CO2-value declared on its feeds.

天然種苗と人工種苗のバランス

ブリの人工種苗について鹿児島からの報道です。先月には大分県での同様の取り組みがニュースになっていましたが、天然種苗のモジャコ(ブリの稚魚)が大不漁の今年はマスコミの注目度も高いようです。養殖の種苗を天然に頼るクロマグロやカンパチでもいえることなのですが、天然種苗が捕れない年には人工種苗の必要性が叫ばれるのに、天然種苗が再び捕れだすとそのような叫び声がなくなってしまう歴史が繰り返されています。現実性に欠ける輸出重点品目として指定されたからということではなく、先ずは日本のブリの養殖生産、つまり国内消費と輸出向けの養殖ブリの生産の安定性を確保するという観点から進めていくべきことであり、それには人工種苗と天然種苗をバランスよく上手に有効利用していくという認識が必要です。日本の養殖ブリはノルェーのアトランティックサーモン(大西洋サケ)ではなく、海外で養殖が試みられている他のブリ類でもありません。日本の養殖ブリは天然種苗+人工種苗でそのニッチに安定性を担保するという意義ある独自路線を行けばいいのではないでしょうか。 追記:人工種苗と天然種苗については以前にも思っているところを書いておりますので、ご参照いただければ幸いです。 「 人工種苗はかっこいい? 」 「 完全養殖だけが養殖ではない 」 (リンクが切れていますが残しておきます) ブリ養殖の救世主になるか 鹿児島で人工種苗の生産本格化 稚魚安定供給に期待高まる(南日本新聞) - Yahoo!ニュース  鹿児島県が日本一の生産量を誇るブリ養殖に欠かせないのが、稚魚のモジャコだ。しかし、今年の採捕量は昨年の半分に低迷。来年以降のブリ出荷への影響が心配される中、養殖業者からは、親魚から採卵して育成する

ゲノム編集:社会と持続性への貢献

ゲノム編集は人為的かつ意図的に遺伝子を編集する点で従来の品種改良技術とは特異です。その特異性を和らげるためによく「自然でも起こる」というようなワードとともに紹介されることが多いですが、例えば欠失型編集は生物の遺伝子を人間がピンポイントで欠失させることであって、決して自然がそれを起こしているのではありません。私はゲノム編集技術とその農水産物への応用について大賛成なのですが、ヒトにデザインされたゲノムが自然のものとの同等性を持つかのように伝えられることが多い現状に対してはいささか閉口気味になっています。優れた技術だけにもっと自信と主張をもって伝え、伝えられる側もそれを素直に受け取ってもいいのではなでしょうか?また、しかし、その一方で、こういった技術がどのような目的で使用されているのかについて、もう少し踏み込んで捉えられることも大切かと思います。社会に有益であり、持続可能性の向上に貢献するのか?例えば、単に生産性の向上だけでなく、魚や作物の水温や気候への適応を助け、疾病に対する薬剤や農薬の必要性減らし、魚や作物の健康を大いに改善するのか?単に生産性の向上だけに動物の外観が大きく変更されたり、動物の福祉が損なわれたりすることはないのか?少し過熱気味になっているようにも感じる現状ですが、これらのことに対する冷静な判断がゲノム編集を行う側だけでなくそこに投資する側にも求められます。 (リンク切れしていますが残しておきます) https://jp.techcrunch.com/2021/12/03/startupbattle-2021-winner/ TechCrunch Tokyo 2021 スタートアップバトル優勝は、ゲノム編集で食糧危機を救うリージョナルフィッシュ:12月3日、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」はすべてのプログラムを終え、閉幕した。イベントの最後を飾ったのは、2日間にわたって開催された設立3年以内のスタートアップによるピッチバトル「スタートアップバトル」の表彰式だ。スタートアップバトル初日では、書類選考を勝ち抜いた..