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スシローの養殖

新しい取り組みとして注目を促している記事ですが、これだけでは全体像をつかめないので今後の動きですね。プレスリリースをみると養殖会社の社長が今回の新会社の取締役も兼ねることになっており、商売の形態としては目新しくはありません。ボリューム、スケールメリットというよりはインテグレート化やゲノム編集といった新規技術の現場への導入に向けた第一歩なのかもしれませんね。 スシロー、養殖の新会社 回転ずし「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIESは21日、養殖事業を手掛ける新会社を設立したと発表した。エサの調達や販売、魚の品種改良などに取り組む。回転ずし業界は漁獲量の減少や漁業の人手不足、魚の価格上昇などで将来の安定調達に不安を抱えている。安価で品質の良い魚を安定して仕入れるため、養殖事業に関わる。F&LCと養殖事業を手掛ける拓洋(熊本市)が出資して、マリンバース(熊

おざなりの動物福祉

アニマルウェルフェア(動物福祉)に対する国の認識を嘆いている記事ですが、そこで紹介されているような非公開の意見交換会でさえ、私の知る限り、水産養殖物については開催されたことがありません。人は体温がある温かな動物に憐れみを感じやすいこともあってか、体温がなく冷たい動物の魚類に対するアニマルウェルフェアについてはどうしても後回しになってしまい、確かにそのような歴史は欧米でもありました。しかし、今ではアトランティックサーモンをはじめとする主要な養殖魚について活発な議論がなされており、ASCやBAPといった水産養殖物認証への組み込みも現実的なものになってきています。 国は「養殖業成長産業化に向けた総合的な戦略」で2030年の北米、アジア、ヨーロッパへの輸出目標額を、ブリで2018年の10倍の1,600億円、マダイで120倍の600億円に設定しています。実現性の有無はさておき、それに向けて可能な限りブリやマダイの輸出を増やすためには、国際的な水産養殖物認証を獲得して維持することがますます必要で重要なものになってくるはずです。そして、それらの基準の設定に日本の意見や事情を反映させていくためにも、国の主導のもとで水産養殖物のアニマルウェルフェアに関する議論を始めるべきギリギリの時期に差し掛かっています。 「動物福祉を推進したところで消費者の選択につながらないので意味がない。畜産家のコストが増えるだけだ」とは記事で紹介されている農水省幹部の畜産物に対するコメントですが、水産養殖物についていうと、そこをやっていかなければ、選択されなくなるのは日本なのではないでしょうか。 註:養殖魚の福祉については昨年1月にも 記事 を書いていますのでご参照ください。 おざなりの動物福祉 「ビジョンない」農水省 「具体的なビジョンはない」と農林水産省の幹部自らが認める。家畜にとって快適な飼育環境を整えるアニマルウェルフェア(動物福祉)。吉川貴盛元農相が収賄罪に問われた事件で取り沙汰されるようになったテーマだ。動物福祉の向上には施設の改修など投資が必要で、畜産家は負担が増しかねない。検察側は、吉川氏が鶏の飼育に関する国際的な指針案について反対意見をまとめ、鶏卵業者を利するよう動いたとみている。農水省

ASCのパブリックコンサルテーション:Feedback webinar

今週の6日、7日にwebinarにて開かれたASCのパブリックコンサルテーションに参加しました。仕事の都合と興味の範囲もあり全てのセクションを聞いたのではありませんが、養殖産業に関わる国内の各分野からおおよそ30名の参加がありました。 ASCサイドの各事項に対する説明や参加者からの意見を汲み取る姿勢は、誤解を恐れずに言うと以前よりも格段に改善されたものになっており、効率的なコンサルテーションwebinarを運営できていると感じました。1セクションにあてる時間が少し短いかな?思いましたが、これまでの経験を通してかなり洗練されたものになっていたと言えるでしょう。英語で参加していると時々微かにしか聞こえてこないのですが、同時通訳も十分なスピードと素晴らしい精度で提供されていたようで、こういうことからもコンサルテーションの運営がうまく日本に対応してきていると感じました。このレベルで運営されていればほとんど問題はないでしょう。 あとは、参加者からのもう少し活発な質問やインプットがあれば、というところでしょうか。同時通訳を通しても海外の方に質問やインプットすることは少し気恥ずかしさを感じる日本人気質的なところもあるのかもしれませんが、おそらく問題なのは、個人的な質問やインプットはあるものの会社としての内容や立場がその場で瞬時にまとまらない(あるいは、以前からまとまっていない)とか、先輩や上司を差し置いて質問やインプットすることができない(しかも結局は、先輩や上司は何もしない)とか、うちが質問すると他社から「あいつら分かってないな?」と思われてしまうかも?といった要らぬ心配とか、、、というようなところのように思います。 ASCサイドから、「これについての現状は?養殖企業からどなたか情報いただけますか?」や「これに対する飼料メーカーからの意見や質問は?」というような問いかけが今回もありましたが、そういうことがあればどんどん積極的に質問やインプットをしましょう。それがコンサルテーションであり、コミュニケーションであって、日本語でもそれが可能な環境が整えられ提供されているのですから。 ASC養殖場基準のパブコメに関連したウェビナーと説明会のお知らせ - ASC Japan 3月1日から2か月間、既存の11魚種を統一したASC養殖場基準のパブリックコンサルテーションを実施しています。 ...

養殖サーモン/トラウトの強さ

日本の市場における養殖サーモン/トラウトのパワーバランスとなると良く知らない領域になりますが、ロシアのウクライナ侵攻後は明らかにノルェー産が店頭に並ぶことがなくなってきています。迂回ルートでのロジが整えられてくれば、量的にはある程度の回復が予想されますが、それでもバランスが取れた価格に着地するにはまだ時間がかかるように感じます。一方で、オーストラリア産のサーモン、少なくとも私の周りではこれまではあまり見かけなかったものですが、穴を埋めるように並べられているところもあり、さらにそこには生・冷凍・塩かかわらず国産やチリ産も負けておらずといった勢いで、誰もがノルェー産のニッチをスイッチすることに集中しているようです。他方、このようなことを通して、むしろ、どこ産?といったようなことではなく、養殖サーモン/トラウトといった食品がいかに消費者に強く求められているのかについて改めて認識するのは私だけでなはいでしょう。まったくもって養殖サーモン/トラウト強し、ですね。。。ただ、早く戦争が終わることを願う毎日でありますが。 https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20220327/5020010725.html (リンク切れですが残しておきます)

ASCのパブリックコンサルテーション

ASCが既存の11魚種を統一した養殖場基準に対するパブリックコンサルテーションを実施しています。利益相反がない立場で書かせていただきますが、ASCに関係する/興味あるすべての企業、団体、個人は積極的に意見を伝えるべきです。ASCに限らずBAPなどの国際認証に対して「欧米人が勝手に作った認証」と未だに言っている方々もいますが、これらの認証は常にパブリックコンサルテーションを実施することを心がけていますし、実際にしています。欧米発ですので欧米主導で練られてきた認証であることはたしかですが、「欧米人が勝手に作った」のではなく、日本からの意見を伝えてこなかった歴史があるといったほうが正しいでしょう。2013年にWorld Aquaculture Societyのアジア鹿児島大会にあわせて初めて日本でのASC会合が開かれましたが国内からの興味はほとんどみられず、「どうして?」と思った記憶があります。その後、世界的に勢いがでてきたにもかかわらず、「日本は日本で」というガラパゴス化が推し進められたということも事実としてあります。潮流を感じず、意見も言わずに、文句を言うのはどうなのでしょう?ガラパゴス化させ、世界から日本やこれからの若い人を切り離してしまうことはどうなのでしょうか? 4月6日と7日にはwebinarで、4月21日には東京でin personとwebinarをあわせた新基準に関する説明会があります。パブリックコンサルテーションへの意見を整理するための良い機会になると思われます。 ASC養殖場基準のパブコメに関連したウェビナーと説明会のお知らせ - ASC Japan 3月1日から2か月間、既存の11魚種を統一したASC養殖場基準のパブリックコンサルテーションを実施しています。 それに伴い、基準の要件ごとに以下のスケジュールでウェビナーを実施いたします。 ウェビナーにおいては、担当者からの要件の説明に加え、質疑応答の場を設けております(通訳あり…

魚の左向きと右向き

今日はちょっと養殖をはなれたお話です。海外で仕事をし始めた時に不思議に感じたのは、あちらでは平気(?)に魚を右向きにして写真に撮ったり、イラストに描いたり、さらにはレストランのお皿の上でも右向きで魚の料理が出されたりと、結構な場面で魚が右向きになるということでした。「魚は左が表(おもて)、右が裏(うら)」と教えられ、〆出荷の際には頭の向きがそのようになるように互い違いにきっちりとトロ箱の中に魚並べてきた日本人の私にとってはちょっとしたカルチャーショックだったことを思い出します。 そのうち違和感はなくなってきたのですが、謎は解いておこうと同僚たちに右向きの理由を聞いても「(僕たちが)生まれた時から魚は右向きだった」ということだけしか分からず、逆に「どうして日本では左側が表なの?」と聞かれても「なぜでしょう?」という答えを返すしかない状況で、最終的には文化、絵画、料理、科学など各分野での違いが総合的に反映された結果なのだろうと自己完結していました。。。が、本当にいろいろな説があることを、この小学館のエッセイは紹介してくれていますね。右利きとの関係には納得です。心臓というよりは肝臓という気がしなくもないですが。。。 他の国ではどのようになっているのでしょう。魚の左向き・右向き世界地図があれば面白いでしょうね。 図鑑の魚はなぜ左向き? 最近、立て続けにテレビ局の方から問い合わせをいただきました。 「図鑑に載っている魚はなぜ左向きなのでしょうか?」 何でも、バラエティ番組の「身近な疑問」的なコーナーで取り上げたいのだそうです。たしかに、私たちが作っている魚図鑑も、標本写真は皆、左向きです

飼料原料のフレキシビリティ

小麦やコーンについては養魚飼料へのインパクトも大きく、先行きがかなり不透明な状況になっています。小麦ではflour、gluten meal、branが、コーンではgluten mealが主な養魚飼料原料になり、これらの原料は飼料製造においてバインダー、フィラー、タンパク源などといった重要な役割を担っています。配合割合はブリのような肉食性魚類用の飼料で相対的に少すくないものの、これらの原料を使用しない飼料設計/製造を考えること自体ありえないのが当然になっており、価格の高騰やavailabilityの低下が国内の養魚産業界に与える影響は大きくなるものと思われます。また、国外をみると、例えばアトランティックサーモンの飼料では小麦とコーンで飼料原料の20%以上を構成しており、アマゾンの森林保護のために供給がタイト/価格がハードになってきている大豆の影響もあいまって、かなり厳しい状況になる可能性が高まっています。今回の戦争は不必要に起こされたものであり、そういった不条理な理由で生み出された原料事情で養殖産業が圧迫されるのは間違っています。しかしその一方で、この現状は私たち養殖産業に生きる者たちへのリマインドにもなっていることを認識しなければなりません。既存の原料からの脱却を進めるということではなく、新たな原料や利用が進んでいない原料の開発や使用を積極的に進めて原料flexibilityを確保して向上する。このことについて、改めて真剣に考える時を向かえています。 食料安定調達へG7農相が臨時会合、ウクライナ侵攻受け 主要7カ国(G7)の農林水産相は11日、臨時の会合を開いた。ロシアとウクライナは小麦やトウモロコシなどの主要輸出国で、採択した共同声明ではロシアの侵攻により穀物相場や国際市場に混乱が生じることへの懸念を共有した。食料調達や価格安定に協調して取り組む。会合は議長国を務めるドイツが提案し、オンラインで開かれた。日本からは金子原二郎農相が出席。G7メンバーに加えて、今回はロシアから侵攻を受けているウ