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鳶が鷹を生む

 「鳶が鷹を生む」を文字通りに魚で実現する技術によってニジマスからサケ(マスノスケ)が生まれました。 これまでの研究と比べると、代理魚として一生のうち何回も成熟するというニジマスの特性を利用する点で、今回のものは新しいと言えます。よく似た魚同士(同属、Oncorhynchus)で技術を適用しやすいという要因もあるものと思われますが、養殖価値の高い他のサケ・マス類への応用も十分に期待できるのではないでしょうか。 また、以前からよく言われる「サバからマグロ」については、種の隔たりや、沈性卵(サケ・マス類)とは異なる機序で成熟する浮性卵であったりするところで難しさが残っているのかも知れませんが、研究を継続する限り、必ず成果が出てくるものと楽しみにしています。 何度もサケ産むニジマスを開発 東京海洋大学が養殖向け 東京海洋大学の吉崎悟朗教授らの研究チームはサケの卵や精子をニジマスにつくらせる技術を開発した。サケは生涯に一度しか卵や精子をつくれないが、ニジマスを代理の親魚として使えば何度もつくれる。サケの養殖や品種改良を効率化できる。

集会:スモルト生産の将来 in ノルウェー

SMOLT PRODUCTION IN THE FUTURE 知人からの紹介です。 これまでの会に参加された方もいるかもしれませんが、陸上養殖のこともあり、日本ではある種の「流行り」になっていますので、興味を持たれる方はこれまで以上に多いかもしれませんね。 ある意味、卵はuncontrollableなところですが、スモルトを育てる施設や技術は自分たちで工夫して高めていけるroomがまだまだあり、このような集まりでの情報交換で気づく、気づかされることも多いのではないでしょうか。 Session 1: Experience and possibilities with production of large smolt Session 2: Smolt quality Session 3: Feed and feeding in RAS Session 4: Fish health and welfare in RAS – biggest challenges Session 5: Water quality in RAS 講演がノルェー語で行われる場合には英語での同時通訳がつきます。 SMOLT PRODUCTION IN THE FUTURE About the conference Nofima and Sunndal Næringsselskap are happy to invite you to the “Smolt Production in the Future” , eight conference on recirculation in aquaculture that will take place in Sunndalsøra, 16-17 October 2024. The conference is intended for anyone with an interest in smolt and post-smolt production, grow-out on land and closed containment systems on land and in the sea. Biannually since 2008,...

記事「様々な増肉係数(FCR)」についての補足説明

以前紹介した増肉係数(FCR)についての 記事 において、『ノルウェーでは飼料原料162万トンを使用した年に125万トンのアトランが生産されましたので、eFCR=162/125=1.30』と述べています。それをお読みいただいた方から、『アトランは数年かけて(出荷サイズにまで)育つので、ある「年」の一年のみに使用された飼料原料の量をFCRの計算に使うことには無理があるのでは?』との問い合わせをいただきました。 ご指摘の通り、確かに無理はあるのですが、時間をかけて育つ魚の稚魚から成魚(出荷サイズ)までに与えた飼料の原料の量を動的に記録することは大変難しいことですし、飼料メーカーや生産者(需要家)によるバリエーションが大きい飼料の種類や供給・使用量を把握することにも厳しいものがあります(少なくとも現時点では)。 このような事情もあって、魚の生産量(=飼料の使用量)が比較的安定して推移するノルウェーのアトランのようなケースでは、先の記事で紹介したような「ざっくり」とした計算で産業向けにFCRを求めることが度々あり、同じような疑問をお持ちの方もおられるかもしれませんので、ここでも回答を紹介させていただきました。 このようなFCRを、パラメータを定義した上で、「見かけのFCR(apparent FCR)」とも呼ぶことがあり、また、実際にノルウェーの国家統計でもこのFCRの数字が使用されています。

養殖の資産価値の評価

養殖における資産価値の評価は、生簀内のバイオマス(biomass:尾数×魚体重)をいかに正確に求められるのかにかかっています。魚体重を推定するこのようなシステムの完成度はかなり高いものになってきていますが、尾数を求めるものの開発はすごく遅れているのが現状です。水中を早く泳ぐ動物であるという特性と、そのような魚を生簀の中にたくさん持つという養殖の特性によるものですが、この「尾数」を評価できるシステムができれば、国内だけでなく世界中でかなりのビジネスになるはずです。今回のプロジェクトでもぜひ挑戦していただきたいですね。 シーエーシー「魚体鑑定システム」実証 養殖いけす 丸ごと算定 システム開発のシーエーシー(東京・中央)は、長崎県の地方銀行や大学と、養殖いけすから出さずに高級魚の資産価値を丸ごと算定できるシステムを使った動産担保融資(ABL)の仕組みづくりに乗り出した。同社の画像認識技術などを活用しており、養殖事業者が資金を調達しやすくするのが狙い。同社などは燃料コストや飼料代の高騰などの課題に直面する水産業の成長をサポートする。

エクアドル:エビ養殖のこれから

The Fish Site掲載のエビ養殖産業界のベテラン、ロビンズ・マッキントッシュによるコラム(オピニオン)で、エクアドルのエビ養殖の歴史と現在について解説し、こらからの方向性について提言しています。 Low stocking density (低収容密度)やall pathogen exposure(APE:全病原体暴露)といった用語で良く説明された「穏やか」なエクアドルのエビ養殖にもtechnification(技術化)やintensification(集約化)が徐々に進んできているものの、しかし、今後はこれをエクアドルにあったものに最適化していく重要性を語っています。 エクアドルでも技術化と集約化が進むのは予てから私たちの間でも予想はされていましたが、東南アジアの経験を参考にしつつ、エクアドルにあった方法を見つけていくべきだという点には共感します。 東南アジアは東南アジア、エクアドルはエクアドルといったように、ある意味別々の養殖体系を上手く保っていくことが、ひいては世界のエビ養殖の継続した繁栄にもつながっていくのかもしれません。東南アジアでは新たなチャレンジを進める動きもあり注目が必要です。 また、なにを養殖するにも、どこで養殖するにも、重要なことは養殖というものの基本の尊重であることも、このコラムは思い出させてくれます。適用するシステムや技術はデフレ的であるべきだし、環境には水質的にも微生物的にも限界があることを知って収容密度を調整すべきだし、栄養的にも機能的にも優れた飼料(餌)を与えるべきであるし、目的にかなった観点から育種された種苗を使うべきであり、市場(マーケット)の形成にも自ら積極的に関わるべきことが求められます。 The perils of overintensification in shrimp farming While the slow intensification of shrimp farming appears to be working in Latin America, Ecuadorian producers should be wary of the Asian example, where even heav...

酸素飽和度

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海水中の酸素飽和度計算 酸素飽和度の計算ツール 測定したDO (mg/L): 測定した水温 (℃): 測定した塩分 (‰): 結果: 実測DOの飽和度 : 飽和度100%の時のDO: (2023.12.04作成) 解説 水中の溶存酸素量は魚の成長や健康に大きな影響を与える重要なファクターの一つです。 一般的には「濃度」(単位:mg/Lあるいはml/L)として測定・記録されることが多いのですが、養殖の分野では飽和度(単位:%)にも注意が払われています。 水に溶け込むことができる酸素の量は主にその時の水温と塩分に左右され、水温が高いほど、また、塩分が高いほど酸素は水に溶け込みにくくなり、逆に、水温、塩分が低いほど酸素が水に溶け込める量は多くなります。 しかし、例えば、水温28℃、塩分35で濃度が5.2 mg/Lの時と、水温16℃、塩分33で濃度が5.2 mg/Lの時で、魚をとりまくの水中の酸素の状況は同じなのでしょうか?溶存酸素濃度はどちらも5.2 mg/Lです。 飽和度は水に溶け込むことができる酸素の最大量に対して、今その水にどの程度の酸素が存在しているのかを「割合」で示してくれます。水温や塩分を考慮に入れて正規化されているため、平たくは、水温や塩分にかかわらず、今その水の酸素の存在量が魚にとってどれだけの余裕(アベイラビリティ)があるものなのか?といった、養殖には必要不可欠な情報を直感的に理解できる形で知らせてくれる便利な指標ともいえます。 私たちが対象としている魚は普段は少なくとも飽和度80%以上の海水を泳いでいる動物です。陸上の水槽では純酸素などを利用して飽和度90%以上を常時確保しますが、生簀などフィールドの施設ではそういうわけにもいきません。 明確な基準ではありませんが、何らかの理由(プランクトンの増殖や水層の混合など)で溶存酸素が低下して飽和度が60%程度に近付くと、魚の酸素消費量の増加をもたらす作業(オペレーション)にはそれまで以上の注意が必要になってきます。60%を...

Behavioral fever:疾病に対抗する変温動物の特性

前にも触れたトピックスですが、魚介類の養殖において疾病のインパクトを軽減する方法の一つに温度処理(療法)があります。多くは水温を高める高温処理で、状況により異なりますが、数℃~5,6℃の範囲で水を全体的あるいは部分的に加温する方法が一般的です。では、なぜ水温を上げることが効果的なのでしょうか? この論文では、エビにとって致命的なホワイトスポット病(ウィルス性疾病)に感染させたバナメイを、適水温で27℃一定の4つの区画を持つ水槽(区画は連結されておりエビが自由に行き来できる)あるいは同一タイプの水槽でそれぞれの区画の水温を27、29、31および33℃の順に設定した水槽に収容したところ、前者ではほぼ全滅(斃死率約90%)したのに対して、バナメイが高温側の区画へと自ら移動できた後者では斃死率が約30%に抑えられました。つまり、バナメイは自らを高温にさらすことで、この疾病に対抗する手段を持っていることになります。 動物、特に変温動物が感染症や環境ストレスに対抗するために能動的かつ積極的に高温な環境へ移動して体温を上昇させることを「behavioral fever*」と呼ぶそうです。その発現(発動)のメカニズムの解明についてはまだこれからのようですが、このような、動物本来の特性(nature)を活かして疾病に対抗することができれば、養殖の技術や産業の持続性もより高まるのではないでしょうか。 今回のバナメイの例では、高温によってウィルス(のDNA)複製が阻害されることが斃死を抑えた主な要因と考えていますが、データからはそれだけでは説明しきれない要因も感じられます。他の疾病や魚介類での研究も期待されますね。 *日本語では正式な学術用語がないようですが、「行動性発熱」や「行動性獲得熱」などと言えるのかもしれません。 Shrimp (Penaeus vannamei) survive white spot syndrome virus infection by behavioral fever Both endotherms and ectotherms may raise their body temperature to limit pathogen infectio...