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7月, 2021の投稿を表示しています

宿毛ブリカツバーガー

今週は宿毛市の『ブリカツバーガー』の紹介です。ブリカツバーガーもなかなかの美味しさと人気のようでSNSでも大きく盛り上がっています。先週の『鯛カツバーガー』とともに養殖魚発(初?)として新たなフードカルチャー創生の原動力になるのではないでしょうか。現状ではマダイ、ブリとも鶏の一枚肉を使用している照り焼きチキンバーガーのようにフィレから切り出した身をダイレクトにフライして用いているのだと思いますが、それに加えてパティとしても使えるような工夫もあればバーガーやサンドウィッチ用の具材としてのポテンシャルがさらに広がるかもしれません。また、『創意工夫による多様な販路の確立』には通年販売する・されるチャネルの発掘と維持が必要で、愛南町や宿毛市だけの努力ではなく業界が協働を継続していけるのかがその成否を占う試金石となりそうです。 https://www.city.sukumo.kochi.jp/docs-07/27239.html (リンクが切れているようですが残しておきます)

愛南町鯛カツバーガー

ニュースになっていますので今日はもう一つ。愛南町(愛媛県)で『鯛カツバーガー』が復活。5月のモスバーガーでの販売が好評だったこともブーストになっているようです。美味しそうで、コロナが落ち着いたら行って食べます。 ところで、養殖魚ではブリもバーガーがありますが、マダイもブリも海外でもバーガーすれば結構人気でるのではないでしょうか?バーガー屋さんにもいろいろ種類があって決してファストフードということでもありません。日本の私たちが思うよりは大きなポテンシャルがあるように感じますが。 愛南町公式ホームページ/ 愛南町鯛カツバーガーについて公表します 愛媛県は、養殖鯛の生産量全国1位で、県の魚も真鯛になっています。県内の生産量の約30パーセントは、愛南町で生産されています。令和3年、大手バーガーチェーンにて真鯛カツバーガーを販売したところ、瞬く間に人気となり売切店が続出。より多くの方に、この鯛カツバーガーの味を楽しんで頂きたく、町内の飲食店やその他関係事業者の方々に協力頂き販売する運びとなりました。オリジナリティある鯛カツバーガーをぜひ、ご賞味ください。

EPの性能:崩壊性と消化管通過速度

マッシュの脂質レベルの違いが飼料(EP)の崩壊性や消化管通過速度に影響を与えるという論文です。最終製品の脂質レベルを上手く合わせて試験飼料を調製しています。エクストルーダーを持つ機関や大学が増えてきており、モイストペレットを使用する限りは対象になり得ないこのような飼料製造と魚類栄養生理の基礎に関わる分野の研究がますます進んでいくでしょう。 アトランティックサーモンの低魚粉飼料の配合での試験ですので適用できる範囲には制限があると思いますが、程度の違いはあれ、また脂質のみがファクターでもなく、他魚種のEP飼料の製造時にも留意すべきとところを感じることができる良い論文だと思います。それとこの論文で興味深いのは、EPの崩壊性が高ければ空胃や腸を通過するスピードが速まるに伴って摂餌量が増加するものの、魚体重、成長速度、増肉係数(FCR)などの飼育成績は目立った影響を受けなかったという飼育の結果です。 魚がエサ(EP)を元気よくバクバクと食べてくれるのはいいですが、後日「あれ?期待していたようには成長していないなぁ?」となる原因の一つにはここで論じられている飼料製造上の変動(最終製品のスペックが変わっていなくとも)もあるのでしょう。摂餌量が異常を感じないほどに確保されている(低くない)のであれば、EPの性能の評価は出来上がってくるから魚から判断すべきというベテラン養魚家の経験則を支持する内容でもあります。 Disintegration stability of extruded fish feed affects gastric functions in Atlantic salmon (Salmo salar) In the present study, two salmon feeds with different disintegration stabilities were produced by impacting extruder viscous heat dissipation with the…

水産学と水産業の元気の源

こっちが歳をとるわけです。私の大学時代の留学生も今では立派な先生です。『水産学栄えて水産業滅ぶ』と日本では言われますが、海外では『水産学・水産業ともに栄える』といった元気な状況にあります。その元気の源は若い人たちの水産に対する興味と、その人たちが理解を育み、能力を磨き、それらを活用できる場ならびに水産学は水産業と不離であることを肝に銘じている国や科学者の存在でしょう。水産養殖の分野ではこのマレーシア・サバ大学の研究所のように学生さんたちが先生たちと実際に魚に触れて養殖の基礎を楽しく学び、研究のための科学的な指導も並行して受け、自らが導き出す成果を内外にフィードバックできる場とそこから輩出される人材が産業界・学術界の元気を生み出す源としてますます重要視されてくることと思います。 Women in Aquaculture: Ching Fui Fui Ching Fui Fui is an associate professor at the University Malaysia in Sabah. She runs the university fish hatchery and works at the Borneo Marine Research institute, a centre of excellence working on

週末の無給餌

ニジマスでは週末2日の無給餌で飼育成績が低下するとの報告です。例えば人件費や飼料代の節約を考え土曜日と日曜日に無給餌にすると、魚の成長が鈍化して増肉係数(FCR)も悪くなり損をする(かも)ということです。小さな魚での比較的短期間の試験ですのでさらに詰める必要はありますが、このような地味な研究が養殖という産業を支える基盤になることを忘れたくはないですね。給餌制限をした魚では1日あたりの摂餌量が毎日給餌した魚のものを上回るようになってくるようですが、補償成長は認められなかったようです。ライトリッツ給餌率表に代表されるように給餌量に関しては研究しつくされている感のあるニジマスにおいてでさえ、このようなところの表立った研究がこれまでなかったとは意外ですが。。。。一方で、ニジマスの養殖では毎日給餌することが標準であり、アトランの養殖でも「1日でも無給餌日を設けるなんてお金を捨てているようなもの」ということはよく言われます。稼ぎに直結するこういうところの重要性は生産者のほうがよく理解しており、各々独自のノウハウとして表(おもて)には出てきにくいものでもあるのでしょうね。 Effects of weekend starvation and the duration of daily feeding on production parameters of rainbow trout Oncorhynchus mykiss It would often be practical to starve the cultivated fishes over the weekends, e.g. to save in labour costs. We evaluated the possibility that domesti…

カニカマと培養肉

米国のフィンレス・フーズが植物ベースのマグロ風味食品を開発とみなと新聞が伝えています。本来のターゲットである培養肉製造には技術的、コスト的に解決すべき課題がまだ残されているということでしょう。 培養肉の将来性はどうなのでしょうか?2年ほど前からそのことについてしばしばコメントを求められます。問いの多くが「魚(多くはマグロ)の代替になり得るか?」ですが、それに対する私からの答えは「なり得ない」です。培養肉は水の中で泳ぎ育った動物(魚)ではなく、培地で培養された細胞の集団です。動物は細胞からできますが、細胞は動物ではありません。こう言うと必ず「そういうことではなく、食べ物としてはどうですか」という質問が追加されますが、それでも答えは「代替にはなり得ない」です。培養肉はカニカマや今回の記事で紹介されている植物ベースの加工物の先にあるもので、食品や食事のカテゴリーとしては魚や刺身になることはなく、またそのように認知されることもないでしょう。カニカマや大豆パテのバーガーを、本当のカニ(蟹)やビーフ(牛)のバーガーと思って食べている人はいないですよね。 しかし、そう伝えると「それでは培養肉に将来性はないのですか?」という確認の質問をいただきますが、その問いに対する私の答えは一転して「将来性はあります」です。培養肉=魚というのが生産者側も消費者側も先ずは思い描きアピールする(したい)等式ですが、実際のところ培養肉のポテンシャルは培養肉≠魚、つまり培養肉は魚ではなく、培養肉は培養肉としてビジネスモデル化できるところにあるのだと思います。例えば、今のカニカマの世界的成功はカニ(蟹)肉の模倣から始まったカニカマを早期にカニカマ≠カニ(蟹)と自ら認識して商売の舵を大胆に切った(切れた)ことに基づいています。培養肉を全く新しい時代の食べ物、これまでになかった食べ物と思うところ(宣伝されているところ)に落とし穴があり、そこに入ってしまうと商品としてのポテンシャルを捉えきれなくなります。食べ物は食べ物。「先輩食品の歴史が培養肉にとってもいいお手本になるのではないでしょうか?」という答えでいつもインタビューのコメントを締めくくっています。 米企業が植物からマグロ風味人工肉の開発に成功(みなと新聞) - Yahoo!ニュース  マグロ人工肉の開発を手掛ける米国のスタートアップ企業、フィンレス・フ...