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5月, 2020の投稿を表示しています

マグロの長さと重さを計測

地中海ではキャンペーンが始まっていますが、あちらの大きなマグロにも使えるとICCATの監視員はたいへん喜ぶでしょうね。そのかわりに、みんなでワイワイしながらモニタ釘付けで生簀に移すマグロを数えるといった風物詩がなくなってしまいそうですが。。。他魚種の養殖も益々大型化してきていますので、このような計測技術に対する需要は確実に増してきています。飼料(給餌量)は正確に知ることができますが、魚の体重と数を上手く把握することが難しいのが現状で、新しい技術によって経済効率を算出するためのパラメータに信頼性を付与することができれば、水産養殖ビジネスのさらなる洗練化につながるでしょう。GoogleやMicrosoftの参入もみられるこの分野、これから加速度を付けて発展していくと思われます。 養殖マグロ水揚げAIでタイミングよく 豊田通商とNEC 豊田通商は21日、養殖クロマグロのサイズや重量を人工知能(AI)で測定するシステムをNECと共同で開発したと発表した。従来は手作業で測定した後に特殊な分析が必要で全体で数日かかっていたが、新システムでは1日で正確に測れるという。適切な水揚げ時期や餌の量を短時間で決めることができるようになるとして、豊田通商の養殖拠点に導入した。水中カメラで魚群を5~10分ほど撮影し、NECが開発したAIをクラウ

トレンド:シングルセルプロテイン

昨年12月の投稿でシングルセルプロテインのUnibioが三菱商事さんからの資金調達で事業拡大を目指すことを紹介しました。それから目立った動きがないなと(勝手に)思っていましたが、先週末にヨーロッパとのビデオ会議(の中休み)でUnibioについて聞いたところ、(あなたの古巣の)Skrettingがティラピアでトライアルを開始するらしいよ、とのことでした。ので、インターネットで検索した添付の記事によると、ティラピアとは書かれていませんが、確かにそのような動きはあるようです。 三菱商事さんが資金を注入するということは実現・実用性が高い飼料タンパク源なのだろうと思っていましたが、Skrettingも関わってくるとなると想像が確信に変わるといったところでしょうか。有望なシングルセルプロテインなのでしょう。Skrettingだけにもちろんサーモンやエビでも検討されると思います。 今回のコロナウィルス禍ではさすがにいったん急落した世界の水産養殖市場ですが、回復も着実に進んでいるようです。水産飼料のグローバル生産量は約4,000万トン、そのうち約10%(400万トン)がサーモン類、約18%約(700万トン)がエビ、約13%(500万トン)がティラピアで;つまりこれら3カテゴリーの水産養殖飼料が世界の水産養殖飼料の約40%(1600万トン)を占めています。ここに1%でも配合されれば16万トン、2%配合されれば32万トン、5%であれば80万トンのボリュームが見込めるわけで、3社ともに将来的な水産養殖拡大のポテンシャルも併せて考え、ビジネスの持続的成長、持続的代替タンパク源の確保、環境持続性への配慮といったターゲットを十分に達成できる計画を策定しているのでしょう。 どのようなトライアルの結果が出てくるのか楽しみです。 Skretting testing Unibio’s novel SCP, with purchase contract potential prize Danish single cell protein innovator, Unibio, has announced collaborative engagement with leading fish feed producer, Skretting.

鯛たべよう!鰤もたべよう!

 #鯛たべよう!#鰤もたべよう! https://www.news24.jp/nnn/news87813346.html (リンク切れしているようですが残しておきます)

バクテリオファージ in RAS

 RAS(Recirculating Aquaculture Systems)での魚病の発生を予防するにはどうしたら良いのでしょうか?病原体を施設に持ち込まないように努めるのがRASを含めた陸上施設の鉄則ですが、そのようなセキュリティーをかいくぐり病原体が侵入して蔓延する可能性はゼロではありません。飼育水の大部分を循環処理し各水槽で共有するRASでは、たった一つの水槽への汚染が引き金になって病原体が瞬く間に他の水槽へも共有されて被害が拡大することになります。また、重篤な水槽の魚のみを薬剤などで処理したとしても、その水槽の水は排水処理しない限りシステム全体に循環(共有)されてしまうことになります。共有される飼育水への病原菌のコンタミは紫外線やオゾンでの殺菌処理で対応できるので大きな問題ないし、バイオフィルターに代表されるRASシステムへの薬剤処理によるへのインパクトは小さいとのコメントも聞きますが、それは規模が無いRAS施設でのケースです。今後は商業ベースでRASの大規模化が進むこと、そのようなRAS施設をオペレートする優秀な科学者と熟練の技術者が決定的に不足すること、また特にポスト・コロナでは卵・種苗ソースの多様化が避けられないことを考えると、新たに第三のオプションを考えておいて間違いはないでしょう。以前は日本でも研究がはやったバクテリオファージ(bacteriophage)ですが、最近ではRASの急速な商業化努力の拡大に伴って再びスポットライトが当たり海外で研究が活発化しています。バクテリアの薬剤耐性(AMR, Antimicrobial Resistance)の関係で脱抗生物質の動きがますます加速していますし、他の薬剤や物理的処理も魚の福祉(welfare)が重要視されてきているなかででは気軽に使用することが難しくなってくるでしょう。これらの観点からも応用が期待されるバクテリオファージは、RASでの養殖魚の商業生産を行っていくうえでフォローすべきトピックスの一つだと思います。 The Fate of Bacteriophages in Recirculating Aquaculture Systems (RAS)—Towards Developing Phage Therapy for RAS Aquaculture production has in...

透明性の必要性

 Global Salmon Initiative (GSI)からwebサステナビリティ・レポートが発表されました。凄まじいという言葉で形容してもおかしくないぐらい透明性の高い情報が大変わかりやすく一般公開されています。エネルギーリテンション、カーボンフットプリント、FCR、オメガ3脂肪酸などの数値についてはどのような計算式やパラメータを使って算出しているのか?またどのような基準で他の魚や家畜のそれらと比較しているのか?で変わってくるものですので、サーモンがそれほど断トツに優れた数字を叩きだすことができているのか?については議論の余地はあると思いますが、サステイナブル・フードとしてのサーモンの優位性を示すには十分な構成になっています。それと、これはすごいなぁと感じたのは、「Sustainability indicators」のページにあるプルダウンメニューで国名とメンバー企業名を選べば、それぞれでの逃亡尾数と原因、死亡数、抗生物質使用量、シーライス(ウミシラミ)感染状況・対処方法、FFDR、違反件数と罰金額、従業員の病欠日数や負傷と死亡インシデント数などの情報を閲覧できるようになっていることです。これらは各GSIメンバー企業のwebページや彼らが独自に発行するサステイナブル・レポートを当たれば拾えないでもない情報ですが、企業ごとにまちまちな体裁でなされているそれらの媒体から拾うのは、特に一般の方々には不可能に近く、そのような情報がeasy-to-look、easy-to-read、easy-to-useに閲覧・収集できるのは業界人にとってもありがたく、GSIにとっても意義あることでしょう。ちなみに、魚の逃亡原因についてみてみると、例えばノルウェーではサンプリング時に魚が海に落ちた、船のリフトで網をひっかけた、wellボートのベントバルブが開いていたなど作業上のミスによるものがほとんどですが、チリでは網を切られた、アシカの攻撃を受けた、暴風雨で壊れたなどの(ある意味)コントロールできないものも多いことが分かり、その国々での養殖の何か懐かしいような雰囲気を感じることができます。公表されているデータはアトランのものだけでなく、ギンザケやトラウトも含まれていますので、興味ある方はぜひwebページを訪問されてはいかがでしょうか? Sustainability Rep...

コロナ下でのお買い物

じっくりと買い物することがなかなか難しい今日この頃ですが、お肉、お魚、お野菜をバランスよく食べて元気な体をつくりましょう。お魚を考えるときのオプションの一つがこれ。お肉、お野菜版もあるかもですね。 コロナ支援「お取り寄せ魚介類」を選ぶ3つのポイント、粗悪品に騙されるな! 新型コロナによる外出自粛の影響で、多くの飲食店が休業し、多くの魚介類が行き場を失っています。そんな中で、ECサイトなどから特別価格で取り寄せられる取り組みが広がっていますが、粗悪な商品が出品されたりする例も見受けられます。