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3月, 2022の投稿を表示しています

ASCのパブリックコンサルテーション

ASCが既存の11魚種を統一した養殖場基準に対するパブリックコンサルテーションを実施しています。利益相反がない立場で書かせていただきますが、ASCに関係する/興味あるすべての企業、団体、個人は積極的に意見を伝えるべきです。ASCに限らずBAPなどの国際認証に対して「欧米人が勝手に作った認証」と未だに言っている方々もいますが、これらの認証は常にパブリックコンサルテーションを実施することを心がけていますし、実際にしています。欧米発ですので欧米主導で練られてきた認証であることはたしかですが、「欧米人が勝手に作った」のではなく、日本からの意見を伝えてこなかった歴史があるといったほうが正しいでしょう。2013年にWorld Aquaculture Societyのアジア鹿児島大会にあわせて初めて日本でのASC会合が開かれましたが国内からの興味はほとんどみられず、「どうして?」と思った記憶があります。その後、世界的に勢いがでてきたにもかかわらず、「日本は日本で」というガラパゴス化が推し進められたということも事実としてあります。潮流を感じず、意見も言わずに、文句を言うのはどうなのでしょう?ガラパゴス化させ、世界から日本やこれからの若い人を切り離してしまうことはどうなのでしょうか? 4月6日と7日にはwebinarで、4月21日には東京でin personとwebinarをあわせた新基準に関する説明会があります。パブリックコンサルテーションへの意見を整理するための良い機会になると思われます。 ASC養殖場基準のパブコメに関連したウェビナーと説明会のお知らせ - ASC Japan 3月1日から2か月間、既存の11魚種を統一したASC養殖場基準のパブリックコンサルテーションを実施しています。 それに伴い、基準の要件ごとに以下のスケジュールでウェビナーを実施いたします。 ウェビナーにおいては、担当者からの要件の説明に加え、質疑応答の場を設けております(通訳あり…

魚の左向きと右向き

今日はちょっと養殖をはなれたお話です。海外で仕事をし始めた時に不思議に感じたのは、あちらでは平気(?)に魚を右向きにして写真に撮ったり、イラストに描いたり、さらにはレストランのお皿の上でも右向きで魚の料理が出されたりと、結構な場面で魚が右向きになるということでした。「魚は左が表(おもて)、右が裏(うら)」と教えられ、〆出荷の際には頭の向きがそのようになるように互い違いにきっちりとトロ箱の中に魚並べてきた日本人の私にとってはちょっとしたカルチャーショックだったことを思い出します。 そのうち違和感はなくなってきたのですが、謎は解いておこうと同僚たちに右向きの理由を聞いても「(僕たちが)生まれた時から魚は右向きだった」ということだけしか分からず、逆に「どうして日本では左側が表なの?」と聞かれても「なぜでしょう?」という答えを返すしかない状況で、最終的には文化、絵画、料理、科学など各分野での違いが総合的に反映された結果なのだろうと自己完結していました。。。が、本当にいろいろな説があることを、この小学館のエッセイは紹介してくれていますね。右利きとの関係には納得です。心臓というよりは肝臓という気がしなくもないですが。。。 他の国ではどのようになっているのでしょう。魚の左向き・右向き世界地図があれば面白いでしょうね。 図鑑の魚はなぜ左向き? 最近、立て続けにテレビ局の方から問い合わせをいただきました。 「図鑑に載っている魚はなぜ左向きなのでしょうか?」 何でも、バラエティ番組の「身近な疑問」的なコーナーで取り上げたいのだそうです。たしかに、私たちが作っている魚図鑑も、標本写真は皆、左向きです

飼料原料のフレキシビリティ

小麦やコーンについては養魚飼料へのインパクトも大きく、先行きがかなり不透明な状況になっています。小麦ではflour、gluten meal、branが、コーンではgluten mealが主な養魚飼料原料になり、これらの原料は飼料製造においてバインダー、フィラー、タンパク源などといった重要な役割を担っています。配合割合はブリのような肉食性魚類用の飼料で相対的に少すくないものの、これらの原料を使用しない飼料設計/製造を考えること自体ありえないのが当然になっており、価格の高騰やavailabilityの低下が国内の養魚産業界に与える影響は大きくなるものと思われます。また、国外をみると、例えばアトランティックサーモンの飼料では小麦とコーンで飼料原料の20%以上を構成しており、アマゾンの森林保護のために供給がタイト/価格がハードになってきている大豆の影響もあいまって、かなり厳しい状況になる可能性が高まっています。今回の戦争は不必要に起こされたものであり、そういった不条理な理由で生み出された原料事情で養殖産業が圧迫されるのは間違っています。しかしその一方で、この現状は私たち養殖産業に生きる者たちへのリマインドにもなっていることを認識しなければなりません。既存の原料からの脱却を進めるということではなく、新たな原料や利用が進んでいない原料の開発や使用を積極的に進めて原料flexibilityを確保して向上する。このことについて、改めて真剣に考える時を向かえています。 食料安定調達へG7農相が臨時会合、ウクライナ侵攻受け 主要7カ国(G7)の農林水産相は11日、臨時の会合を開いた。ロシアとウクライナは小麦やトウモロコシなどの主要輸出国で、採択した共同声明ではロシアの侵攻により穀物相場や国際市場に混乱が生じることへの懸念を共有した。食料調達や価格安定に協調して取り組む。会合は議長国を務めるドイツが提案し、オンラインで開かれた。日本からは金子原二郎農相が出席。G7メンバーに加えて、今回はロシアから侵攻を受けているウ

空飛ぶ魚への影響

ロシア領空を通る航空路の閉鎖により、ヨーロッパからの生鮮品、特に私たち養殖業界関係ではノルウェーからのアトランティックサーモンやトラウトの輸入に支障がでてきているとの報道が目立ってきました。ロシア上空を通過するルートは北欧と日本を結ぶ最短のものであり、旅客輸送においても利便性の高い航空路でしたが、それを代表するフィンエアーも飛行ルートの変更を余儀なくされているようです。アジア市場へは年間数十万トン、そのうちの3~4万トンのアトラン・トラウトがノルェーから日本に入っています。ロシアを通るルートが健在であれば自ずと割安な迂回ルートしたが、今となっては相対的に長距離の迂回ルートが唯一のルートで、しかもそこに機材が集中してくることになると、従来よりも輸送時間とコストがかかってくるのは必然と思われます。旅客でさえ北回り、南回りともに戦時の「迂回」である限り、複雑な気持ちのままそのルートを進むという状況が続くでしょう。ほんとうに戦争は何も生み出さない。 サーモン・ダイヤに影響懸念 ウクライナ情勢受け... ウクライナ情勢緊迫化で混乱が加速する中、物流網でも影響が拡大している。千葉県の鮮魚店では、ロシア産のカニやタラコの価格が上がる可能性に加えて、ある懸念が強まっている。石毛魚類 千城台本店・谷中政夫店長「こちらがノルウェーサーモンで、本日2つ目。本当は3つ欲しかった。朝、市場行ったらなくて」ロシア上空を飛行するルートでのノルウェー産サーモンの確保が難しくなり、別の調達先を見つけるのに苦労している。石毛魚類 千城台本店・谷中政夫店長「滞ると商売にならない。ますます先行き不透明」買い物客「家計にダメ…