チリでの赤潮
チリのサーモン養殖が赤潮で大きな被害を受けたことをご存知の方も多いと思います。2016年につづく大規模な発生で、死亡した魚は約7,000トンとも、10,000トンともいわれています。赤潮の原因は?ということで、やはりサーモン養殖自体が要因の一つと考えられているのは自然なことでしょう。日本でも、どこでも、魚の生簀が設置されている環境で赤潮が起これば、その発生に養殖が関わっていると思うのが一般の人々の自然な感じ方ですし、養殖に携わる我々も全否定できず、また、そうすべきでありません。環境(地球)に影響を与えない産業はなく、養殖もそうであることを我々自身が理解して受け入れ、負のポテンシャルと常に隣り合わせであるという心掛けで日々工夫することが、より良い予防策の開発と素早い対応につながるのだと思います。 さて、今回のチリでの赤潮の原因、みなと新聞のコラムによると「魚粉代替飼料増加による食べ残し」の可能性が指摘されているようです。しかし、食べ残しは確かに原因になりえますが、どのようなエサ(飼料)でも生産者にとってはお金ですので、それを海に捨てるがごとく魚が食べ残すほどにエサを与える(過給餌する)でしょうか?「魚粉代替」飼料であればむしろ代替原料のインバランスな配合や品質の良くない代替原料の使用によって飼料(栄養素)の消化率が悪化し、消化しきれなかった栄養素が糞として環境水中に放出された可能性も考えられます。消化が良くなければ魚はそれを補うために自身で摂餌量を上げる(よく食べる)ことがあります。そして結果的によく糞をします。現地に詳しいわけでありませんが、コロナの影響で代替原料の生産に量的・質的な瑕疵が発生しているのかもしれません。チリでは陸上動物(トリ)の加工産物を代替原料として多用する傾向にあり、その品質の良いものを安定的に生産することには、ある意味、植物性の代替原料の場合よりも難しさがあります。また、超低魚粉飼料のサーモン飼料では配合される個々の原料の量と質に許されるブレ幅が極めて小さく、その点でも他の飼料とは特異です。過給餌もインパクトを与えたのかもしれません。しかし、それに加えてチリ、コロナ、サーモン、代替原料といった複数の要因による今回の赤潮のように思えます。 チリでサケ大量死、4200トン被害 有害藻類の増殖で 【4月9日 AFP】(写真追加)チリ水産庁は8日、有...