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回転ずしでの魚バランス

マルハニチロさんによる「回転寿司に関する消費者実態調査 2021」の結果が公表されました。よく食べるネタ 1 位「サーモン」、最初に食べるネタ 1 位「サーモン」、シメに食べるネタ 1 位「サーモン」。サーモンの圧倒的な強さが目立ちます。よく食べるネタでは45.4%の人がサーモンを選び、2位のマグロ(赤身)と3位のハマチ・ブリを選んだ人はそれぞれ34.6%と29.7%。サーモンが頭一つ抜きん出でている状況です。一方で我慢することが多いネタ は「マグロ(大トロ)」。まだまだ値段が、、というところだと思いますが、逆に、値段さえ、、、ということでもあるのでしょうか。ただ、このような順位はついているものの、どのネタ(魚介)もお互いに助け合って(?)の回転寿司なのだと思います。マグロやブリがなく、サーモンだけあってもいけないでしょうし、その逆もしかりでしょう。追い越し追い抜くということだけではなく、今のバランスをうまく保つということも大切なのかもしれません。ちなみにこの調査には回転寿司デートでの NG 行動 という項目もあり、「間違えてとってしまったお皿を戻す」と「香りの強い香水をつけて入店」が同率 1 位だったようです。その他にもいろいろと面白い調査項目があり大変勉強になりました。 リサーチ | ニュース | 企業情報 | マルハニチロ株式会社 食に関する調査報告をイラストとアニメーションでご紹介します。

第三の生簀?

近頃では陸上でのRAS(閉鎖循環式)養殖や沖合での海面生簀養殖が注目を集めていますが、他方では陸上RASでもなく、従来の海面生簀でもない養殖法の開発が進められています。ノルウェーのFiiZKによるセミクローズドコンテインメントシステム(SCCS, Semi-Closed Containment System)。Cermaqによるフルスケールの試験でまずますの成績が上がってきているようです。生簀内はポリマー樹脂で生簀外と遮断されており、取水深度の柔軟性と高い換水率を併用することでウミシラミや赤潮の影響を極限まで排除。生簀内外の環境パラメータもセンサーシステムでモニタリング・管理され、まるで海上にある陸上施設のようです。その一方、KvarøyArcticは陸上で海面養殖の実現を目指しているともいえ、あえてフロースルー式を採用したその陸上施設はRASよりも低コストででき、深度80mからの取水はウミシラミや赤潮の脅威を限りなく排除します。スラッジはバイオ燃料として利用。このようなSCCSや意図的なフロースルーによる養殖手法、かつてはRASや沖合養殖もそうだったように開拓者が途切れることなく生まれている証左ともいえそうですね。 Not RAS, not net pens: Salmon farm concepts redefine barriers - Responsible Seafood Advocate Sea lice, algae, temperature changes and escapes still vex salmon farmers, but new cage systems aim to surmount these concerns with innovative barriers.

栄養素と消化率のデータベース

魚飼料原料の栄養素や消化率の公開データベースとしては International Aquaculture Feed Formulation Database (IAFFD)が有名で、私もパートナーとの実用飼料や試験飼料の配合を設計するとき参考にしますが、先日にフランスの公的機関が中心となってまとめられたINRAE-CIRAD-AFZ feed tableというデータベースがインターネット上に公開されました。もともと紙ベースで作られていたものをアップデートして公開したようです。データベースとしてはIAFFDのように魚に特化したものではなく、どちらかというと畜産向けのものですが、IAFFDとのダブルチェックにも使えますし、「この原料、牛やトリならどの程度利用するのかな?」という素朴な疑問にも答えてくれそうです。既存の原料でも産地やグレードによって栄養素は異なり、また最近ではどんどん新規の原料も上市されてきています。このようなデータベースの公開はとても有意義なことですね。 ちなみに、INRAE-CIRAD-AFZ feed tableの制作スポンサーの一社は味の素アニマル・ニュートリション・ヨーロッパでした。味の素アニマル・ニュートリション・ヨーロッパは4月ごろに全株を他社に譲渡される予定です。 Tables of composition and nutritional values of feed materials INRA CIRAD AFZ

オキアミとアトラン

業界メディアがここ数日オキアミの話を取り上げてますね。ノルウェー食品・漁業・水産養殖研究所(Nofima)とオキアミ企業のRimfrostの共同試験で、Rimfrostの製品OlyPep(オキアミ加水分解タンパク)がアトラン海水スモルトの摂餌率や成長を大きく改善することが明らかになったということです。Nofimaのプレスリリースに基づいて報じているだけですのでデータの詳細は明らかになっていませんが、OlyPep無添加を対照に、エクストルーダーに通す前にOlyPepを添加して製造したEP飼料と、OlyPep無添加で製造したEP飼料にOlyPepをトップコーティングしたものとで飼育試験をして比較したところ、OlyPepを添加した両EP飼料区、特にトップコーティングしたEP飼料区でベストな成績が得られ、さらに無添加の対象区では表皮の物理的ダメージが癒されていない魚が多く存在したのに対して、OlyPep添加飼料区における発生頻度は比較的少ないといった結果が得られたようです。ストレスを受けている魚を早期にエサを喰う(食事をとる)方向へと導いてあげることが、結局は早期に魚の活力を復元して成長や生残を保つことにつながるのは日本でよく知られています。淡水から海水に移されてストレスを受けたスモルトの成長不良や斃死の改善に有効な技術として注目されそうですね。トップコーティングとなると煩雑なところもでてきそうですが。。 Smolt ‘grow more rapidly’ on a krill diet – Fish Farmer Magazine News Smolt ‘grow more rapidly’ on a krill diet – Fish Farmer Magazine