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1月, 2020の投稿を表示しています

コロナ情報:ジョンズ・ホプキンス大学

 ジョンズ・ホプキンス大学のシステム科学工学センター(Johns Hopkins Center for Systems Science and Engineering)がコロナウィルスについて、場所、感染者数、死亡者数とともに回復者数のほぼリアルタイムなデータを地図を併用して報告しています。パソコンでの表示のみに対応しているのかもしれません。私のスマートフォンでは表示が崩れました。ニュースや新聞では回復者数について語られることはほぼありませんが、科学的にはその絶対的、相対的データをフォローすることはとても大切だと思います。ホームページの下部にある画像をクリックするとアクセスできます。 ncov

コロナのインパクト:中国

以前からささやかれていましたが、中国でのコロナウィルスのインパクトにより、飼料業界で使用されるアミノ酸やビタミンなど添加物の製造・供給に影響がでそうな状況になってきました。アトランティックサーモンの中国での販売もコロナウィルスのインパクトにより落ち込み、最近では高値で順調に推移していた魚価も、ここ1週間ほどで急落しています。他の業界・産業でも同様なことが起こっており、いかに世の中が巨大生産・消費国である中国に依存しているのかが分かります。そして、それらにもまして、中国の方々が心配です。大変な心労、苦労もあると思います。また、日本を含め他の国でも罹患されている方がでてきています。世界でのコロナウィルスの問題が早くに終息することを願うとともに、罹患されておられる方々の早期のご回復をお祈りしております。 Coronavirus: Experts foresee feed and food additive supply disruptions A survey of some 97 professional buyers, traders and producers of feed and food additives saw 35 respondents or 36% expecting a high, and 50 respondents or 51% a low impact of the coronavirus on ingredient supply.

ヒラマサ陸上養殖。ブリは?

 昨年11月にKingfish Zeelandの米国進出について紹介しましたが、今回はニュートレコ(Nutreco)がKingfish Zeelandに投資を決定。このニュースが世界を駆け巡っています。Kingfish Zeelandのオランダでの生産量倍増と、米国メイン州でのRAS施設建設推進のための投資のようですが、Altantic sapphireのアトランティックサーモンにつづき、スクレッティング(Skretting)がRAS用飼料のブリ類での欧米展開をする際の足掛かりになるのでしょう。 偶然にも今日は福岡でブリ類養殖のシンポジウムがあり、そのなかで国外におけるブリ類養殖の拡大動向について報告があるようですが、今回のニュースもホットな話題として取り上げられるかもしれませんね。 日本にはどうしてブリで海外進出する動きが見えないのでしょうか。昨年の投稿でも書きましたが、外来種であるブリでもRASでは許可されるでしょうし、その性格からも飼いやすく、市場にも近い。現地で作る魚で市場にニッチを確保しておかないと、日本から輸出する魚の行き場にも困るようになりそうです。 Nutreco invests in huge Kingfish Zeeland expansion | Intrafish The move comes as part of Kingfish Zeeland's first round of fundraising.

微細藻類研究のトレンド

 微細藻類や植物プランクトンに関わる約80,000報の論文をデータベースから洗い出して解析した報告です。ヨーロッパからの論文ですので、どうしても欧州での事象を中心に報告されていますが、世界の動きとも比較されており、勉強になる情報が満載です。例えば「飼料」をコンセプトにした研究は世界でもヨーロッパでも活発ですが、「バイオプラスチック(bioplastics)」や「バイオスティミュラント(biostimulants)」はヨーロッパでしかコンセプトの上位に入ってこず、これらが新しい市場の流れでもあるようです。また、ヨーロッパ内でもトレンドに違いがあるようで、大西洋沿岸国では「ブルーバイオテクノロジー(blue biotechnology)」が新規コンセプトとしてでてきます。その他にも、各国間の共同研究の活発さ、研究対象になっている微細藻類の種類(属)やトップジャーナルのランキングなどの解析結果が紹介されており、微細藻類の研究とマーケットの動向を比較的優しく説明する内容にもなっています。 A Bibliometric Analysis of Microalgae Research in the World, Europe, and the European Atlantic Area A bibliographic database of scientific papers published by authors affiliated worldwide, especially focused in Europe and in the European Atlantic Area, and containing the keywords “microalga(e)” or “phytoplankton” was built. A corpus of 79,020 publications was obtained and analyzed using the Orbit Intellixir software to highlight the evolution of the research domain. Publication rates from 1960 to 2019, organization of the research, collaborat...

現代型なくして次世代型なし

 数日前にペルーでアナウンスされてから騒ぎが大きくなってきましたが、養殖産業は川上から川下まで過去に何度もペルー魚粉の不足を経験していますので、そこから学んだ備えがあって当然でしょう。「備え」とはペルー魚粉の「備蓄」という意味ではなく、持続性の高い代替魚粉や代替タンパクの開拓、それら原料の利点を引き出す飼料の開発、それら飼料を使いこなす育成技術の向上、そして、その結果生産される魚の購買とその消費者への啓蒙と販促など。。。しかし、次の漁期で十分な魚(魚粉)がとれれば、すぐに忘れる、、、基本的にはこれが歴史的に繰り返されてきている現実です。ですので、「次世代の原料」、「次世代型飼料」、「次世代型養殖」といったように、いつまでたっても「次世代」という接頭語がとれないのです。実際には、いま現在あってしかるべき「現代型」のものばかりですのに。国や学術界による中身があるリードも全く足らなかったのでしょう。この記事が報じているように東京オリンピックを商機ととらえているのであれば、今回のペルー魚粉の不足も機会に「次世代」からの脱却を業界全体で協働して進めてはと思います。もちろん、全てでということは現実的ではありませんので、進めるところは進めて、そして、今回こそは後戻りはしないという行動を期待しています。オリンピックの開会や閉会に合わせて持続性を競うコンペティションを開催するのもいいかもしれません。業界全体で一体感がでる良い期間になりますし、6か月もあれば魚は大きく成長します。「日本の養殖業界はノルウェーのサーモン業界を知ろう」と言われて久しいですが、なぜノルウェーのサーモン業界がこれほどの発展したのかについて、ご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか?育種、飼育・栄養技術の向上、販路の拡大などの個々については良く言われるところですが、実際の起爆剤は業界全体で腹を割って話し、知識や技術をシェアして協働したオープンイノヴェーションでした。我が国の養殖産業が「現代型」へ移行するにも、これと同じことが鍵になるはずです。 養殖魚のエサ 魚粉急騰 3カ月で4割高、ペルー禁漁で ブリやウナギなど養殖魚のエサに使う魚粉の国際相場が急騰している。昨年10月上旬から3カ月で4割上昇し、2年ぶりの高値圏にある。魚粉の主原料であるカタクチイワシの世界最大の産地、ペルーが資源保護のために1月か...

サーモンで新たに発見された免疫器官

よく気が付いたね、という論文です。鳥類には免疫細胞の成熟などに関わるファブリキウス囊という器官がお尻にあるのですが(この論文で初めて知りましたが。。)、これと同じような器官がアトランティックサーモンのお尻(総排泄孔)にもあるという発見です。サーモン(魚類)ではこれまで粘膜関連リンパ組織といわれる腸、皮膚、鰓および鼻が適応(獲得)免疫の所要な「場」であることが知られていましたが、それらにつづく第5番目のものになる可能性があります。成長するにつれ退化していくのも鳥類と似ているようですので、もしかすると大人になる前の成長段階で大切な働きをしているのかもしれません。免疫学的な役割についての詳細が明らかになっていくのが楽しみです。論文中の写真にあるように、お尻(総排泄孔)を広げると外から見えるようです。ブリやマダイなど日本の魚にもあるかもしれないですね。 A teleost structural analogue to the avian bursa of Fabricius We have identified an undescribed lymphoepithelial compartment in the cloacal region of the Atlantic salmon with striking anatomical and developmental similarities to the bursa of Fabricius. This is ...