「魚の血液学の手法-初心者向けだけとして書いたものではありません」という総説がAquacultureにオープンアクセスで掲載されています。総説(Review)というものは、素人や初心者にはもちろんのこと、経験者や専門家であっても自身の知識を修正したりアップデートしたりするにとても役立つものですが、「血液」という魚の世界では決してメジャーな分野ではないところでこのように質が高くて面白く読めるものがでるのは大変珍しく貴重です。あえて基礎には深く踏み込んでいないところも、水産養殖に携わる多くの人に読んでもらいたいとの著者の意図がうかがえ好感を持てます。ストレスが血中グルコースやコルチゾル濃度に影響を及ぼすことは有名ですが、赤血球が膨張したり、長期的にはヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、赤血球数など赤血球形成を亢進させたりすることは(習ったのかもしれませんが)知りませんでした。「戦うか逃げるか反応(fight or flight response)」として赤血球にこのような変化が起こるようです。このほかにも麻酔、採血、血液抗凝固剤、分析などの種類、方法、特性、問題/注意点などについてこの総説では多くを分かりやすく解説してくれています。初心者にやさしく、経験者や専門家にもやさしく、すそ野の広い水産養殖産業にもやさしいといううれしい一報です。 Hematological methods in fish – Not only for beginners Hematological analyses are commonly used to evaluate fish health and welfare in aquaculture, veterinary practice and scientific research. Hematologica…