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軽石とSNS

日本経済新聞が軽石の漂流軌跡と今後の予測をJAMSTECのシミュレーションとJAXAやタスマニア大学の衛星情報にSNSからの情報を組み合わせて公開しています。シミュレーションや衛星からの情報はニュースでよく見かけますが、SNSで発信される情報は速さとピンポイントでの漂流・漂着場所の特定といった点で大変役立つものと思われます。 軽石漂流 衛星データとSNSで追う 小笠原諸島の海底火山の噴火で発生した大量の軽石が沖縄を中心に被害をもたらしている。黒潮に乗り高知沖や伊豆諸島にも到達。漂流する軽石を衛星データとSNS情報で追う。

魚の血液学

「魚の血液学の手法-初心者向けだけとして書いたものではありません」という総説がAquacultureにオープンアクセスで掲載されています。総説(Review)というものは、素人や初心者にはもちろんのこと、経験者や専門家であっても自身の知識を修正したりアップデートしたりするにとても役立つものですが、「血液」という魚の世界では決してメジャーな分野ではないところでこのように質が高くて面白く読めるものがでるのは大変珍しく貴重です。あえて基礎には深く踏み込んでいないところも、水産養殖に携わる多くの人に読んでもらいたいとの著者の意図がうかがえ好感を持てます。ストレスが血中グルコースやコルチゾル濃度に影響を及ぼすことは有名ですが、赤血球が膨張したり、長期的にはヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、赤血球数など赤血球形成を亢進させたりすることは(習ったのかもしれませんが)知りませんでした。「戦うか逃げるか反応(fight or flight response)」として赤血球にこのような変化が起こるようです。このほかにも麻酔、採血、血液抗凝固剤、分析などの種類、方法、特性、問題/注意点などについてこの総説では多くを分かりやすく解説してくれています。初心者にやさしく、経験者や専門家にもやさしく、すそ野の広い水産養殖産業にもやさしいといううれしい一報です。 Hematological methods in fish – Not only for beginners Hematological analyses are commonly used to evaluate fish health and welfare in aquaculture, veterinary practice and scientific research. Hematologica…

軽石の追跡:JAXAと海上保安庁と水産公官庁・機関

 この一週間でJAXAのページがとても分かりやすいものになりました。衛星画像から推定される軽石の海上分布を画面上に示してくれるとともに、画像の解析・判読結果をプレゼン形式で説明してくれています。海上保安庁も、管区ごとに分かれていて少し面倒なのですが、第三管区、第十管区および第十一管区が軽石の軽石漂流・漂着状況をプレゼン形式にまとめて平素に解説することを始めました。四国、和歌山沖をカバーする第五管区でも対応してくれることに期待しています。 一方で、農林水産省、水産庁、水産研究・教育機構のHPは未だ軽石には全く触れていません。独自に調査中だとしても暫定のもので良いのでJAXAや保安庁のデータを漁労や養殖目線で解釈して公開してもらえると助かる人も多いと思うだけに残念です。水産に関わる公官庁/機関の今後の対応に注目しています。 衛星「しきさい」(GCOM-C)等による軽石観測情報 漂流軽石に係る確認状況について|海上保安庁

軽石と情報公開

この記事で紹介されている沖縄での軽石被害に触れて以降、水産養殖に携わる多くの人が「自身の生簀漁場に軽石が襲来したら・・・」と思い、「軽石は今どこまで来ているのだろう・・」と心配し、「襲来への備えや襲来した場合の対策はどうするか・・・」と考えています。昨夕付けの記事にはシラス漁への影響を心配する相模湾の漁師さんも紹介されていました。 このような状況であるのに国などから提供される情報が少なすぎるのではないかと私は感じています。漁業・養殖産業に直接かかわる農林水産省や水産庁のHPには全く情報がありません。限られたルートでの情報提供はあるとも聞きますが、せめて「軽石襲来への備えとして現時点ではこのようなことが考えられます」や「現時点では豊後水道や反流による熊野灘への侵入は想定されません」など漁業、養殖業目線での情報を広く素早くやさしく提供できないものでしょうか。 他の産業や分野、例えば船舶など交通機関や発電所への影響も懸念されていることからも積極的な情報の公開/提供が望まれます。JAMSTECはニュースでもよく取り上げられている黒潮・軽石のシミュレーションをいち早く公開しましたが、それ以降は新たな情報を公式にはリリースしていません。JAXAは日々の衛星画像や拡大が可能なGSIブラウザを公開していますが、場所が限定的であったり、衛星画像そのままであったりします。気象庁についても同じようなことが言えるでしょう。せめて日々の衛星画像に「ここに軽石が映っています」や「この画像には映っていません」などのコメントやマークを添えていただければと思うのですが。。。船舶の運航に関わる海上保安庁でさえ軽石が漂流している海域の座標と地図を10月31日以降更新していません。 国や公共機関からの情報公開/提供のあり方や私たちとの間にあるギャップについて今回の軽石からも考えさせられることが多いように思えます。 JAXA https://earth.jaxa.jp/ja/earthview/index... https://earth.jaxa.jp/karuishi/ JAMSTEC http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/... 気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/menu/R03_karui... 海上保安庁 https://www6...