カイコ:経口ワクチン
ワクチンを作るカイコ(蚕)をエサとして、豚の病気を抑制する素晴らしい技術が紹介されています。 正確には、カイコに導入されたウイルスにより、カイコのサナギ(蛹)のなかでワクチンの成分(抗原)となるタンパク質が作られるとのことで、これもすごいことですが、やはり「経口」で効果が得られるということは、本当なら、注射を打たれて痛い思いをするブタにも優しく、注射を一生懸命に打つためヘトヘトになる人間にも優しい技術として、とても価値があるものでしょう。 経口ワクチンは魚(養殖)の分野でも試されてきていますが、他の動物の場合と同様に消化管で分解を受けやすく、注射に比べると免疫を上げる効率に劣るという問題があります。豚や鶏などの陸上動物でもワクチンを注射するのは大変だと思いますが、水の中から取り出して1尾1尾に注射する魚では、より大きな労力が必要になります。また、ワクチンの効果を上げるアジュバントによる副反応が強く、揺れる水面のせいでワクチンを自分の手や指に打ってしまい腫れあがるといった事故も起こります。海産魚では基本的に海上で注射作業を行います。経口ワクチンが実用化されれば、これらの問題は一気に解決されるでしょう。 魚の疾病にも有効なワクチンにつながるのでしょうか。ぜひ、そうであってほしいですね。 九州大学発KAICO、豚用「食べるワクチン」 20億円投じ28年に 九州大学発スタートアップのKAICO(福岡市)は、2028年夏に豚用の「食べるワクチン」の量産に乗り出す。20億円超を投じて福岡市内に量産拠点を新設し、生産能力を年間1000万頭分と現状の100倍に引き上げる。飼育頭数で日本の3倍規模を有するベトナムの養豚市場を開拓し、3年間で売上高10億円を目指す。